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#-1 ページ35

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―――問題。痛みとはなんでしょう?恐怖とはなんでしょう?答えてくれたら望みを1つ叶えてあげよう



陰鬱な空気で満ちた尋問室に朗らかなAの声が響く

回答者であるはずの男は、先ほどまでの拷問で憔悴しきっていた

意識をぎりぎり保っているという状況下であり、Aのお遊びに付き合っているほどの体力はない


男の中の希望もプライドも誇りも、目の前の小娘によってグチャグチャに壊されていた

どうせ殺すのならば早く殺してほしい

それが恐怖に震える男の望みであった




A「死をご所望?対価を払ってもないのにそんなご褒美を強請るなんて、我儘だね」




死を望むことが我儘なのか

男の頭にそんな疑問が浮かんだが、留まることはなかった

なんだっていい

どんな最期だっていい

早くこの苦しみから解放して欲しい

身に刻まれた恐怖の爪痕が痛みを増す


そんな男の姿に呆れたのか、Aは小刀を投げ男の手を拘束していた縄を切り落とした




A「つまらない。死にたきゃ勝手に死になさい」




小刀を投げてきたのはコレを使えということだ

自由になった手で小刀を握り締める

武器を手にできたのなら話は早い

男は心底安堵したように頬を緩め、そして―――…





――――嗚呼、つまらない


男の正面に置いた椅子に座り、膝を組むAは動かなくなった男をただ見ていた


渡した小刀で素直に死んでしまうなんてつまらない

どうせならその小刀で刺してくれたら…

昔の流れでそんなことが頭に過ぎる

それと同時に蓬髪頭の男の姿も…


Aの顔から表情がそぎ落ちる直前、尋問室の扉が開いた




A「嗚呼、姐さん。ごきげんよう」



振りかえり、上司へ挨拶をするとどこか気味悪げな視線を向けられた

『ごきげんよう』なんて、ふざけて口にするものではないな

なかったことにしようとニコリと笑い誤魔化した




A「タイミングが良いですね。丁度今、終わったところです」




姐さんが入ってきたとき、後ろの黒服が見慣れない男を連れていたのを見た

次が来たのだろう

こんなに続けざまに来るなんていつぶりだろうか


死んだ男の処理を頼み、空いた椅子に連れてこられた男を座らせる




却説、この男は私を楽しませてくれるだろうか―――

終わり←#-2



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作者名:エバ。 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年5月16日 12時

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