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#24 ページ25

太宰side

私たちが目指したのは街から離れたところにある教会だ

今は使われていないため、良からぬ輩たちのたまり場になっている

だけど、どうやら今は違うようだ

人の気配がない…




A「太宰」


太宰「…なんだい?」


A「怖いのかい?」




協会の扉の前でからかうようにそう言うA

心底楽しそうな顔をしてる


幾度その笑みから目を逸らしてきただろうか…

向き合っていれば違う結末があったのだろうか…

考えたって意味はない

今更遅いんだ




太宰「怖がってるように見えたかい?」


A「いや、正直言うとわからない。太宰のことは…よく分からない…」




風が強く吹き、私たちの頬を撫でて行く

しばらく沈黙が続き、Aが不意にニコリと笑った




A「太宰、共に死んでは呉まいか?」




何を言うかと思えば…




太宰「急にどうしたのだい?君らしくない…」


A「…取り残されるというのは、苦しいものだよ」




どこか責めるような視線を向けてくるAに、はぐらかすように笑みだけ返す


やはり根にもたれていた

何も言わずに去ったことを…

中也の様子を見るに、私は想像以上にAに影響を与えてしまっていたようだ

ならば私は悪でいい

君がそれで少しでも満たされるのなら…その苦しみとやらを全て私のせいにすればいい





太宰「私の心配をしてくれるのかい?」


A「…私が消えて…悲しみにくれる太宰というのも素敵だけど、この手で極上の死をあげる方が良いと思っただけ…ただそれだけ…」


太宰「私が悲しむなんて……自惚れだね」


A「あぁ、自惚れだ。でもそう思った。だから…」


太宰「だから、こんな茶番を用意した」




私の言葉にAは少し息を吸った

どうやら少し驚いたようだ

でもAはすぐに一瞬強ばった顔を綻ばせた




A「盗み聞きだなんて、行儀が悪いじゃないか…」


太宰「…A、私たちはきっと再び会うべきではなかったのかもしれないね」



そうすれば…君も余計に悩むことはなかっただろうに

私のことなど気にせずに…

会った瞬間に事を成せていれば、君も私も互いを引きずることができただろうにね

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作者名:エバ。 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年5月16日 12時

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