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太宰side
私たちが目指したのは街から離れたところにある教会だ
今は使われていないため、良からぬ輩たちのたまり場になっている
だけど、どうやら今は違うようだ
人の気配がない…
A「太宰」
太宰「…なんだい?」
A「怖いのかい?」
協会の扉の前でからかうようにそう言うA
心底楽しそうな顔をしてる
幾度その笑みから目を逸らしてきただろうか…
向き合っていれば違う結末があったのだろうか…
考えたって意味はない
今更遅いんだ
太宰「怖がってるように見えたかい?」
A「いや、正直言うとわからない。太宰のことは…よく分からない…」
風が強く吹き、私たちの頬を撫でて行く
しばらく沈黙が続き、Aが不意にニコリと笑った
A「太宰、共に死んでは呉まいか?」
何を言うかと思えば…
太宰「急にどうしたのだい?君らしくない…」
A「…取り残されるというのは、苦しいものだよ」
どこか責めるような視線を向けてくるAに、はぐらかすように笑みだけ返す
やはり根にもたれていた
何も言わずに去ったことを…
中也の様子を見るに、私は想像以上にAに影響を与えてしまっていたようだ
ならば私は悪でいい
君がそれで少しでも満たされるのなら…その苦しみとやらを全て私のせいにすればいい
太宰「私の心配をしてくれるのかい?」
A「…私が消えて…悲しみにくれる太宰というのも素敵だけど、この手で極上の死をあげる方が良いと思っただけ…ただそれだけ…」
太宰「私が悲しむなんて……自惚れだね」
A「あぁ、自惚れだ。でもそう思った。だから…」
太宰「だから、こんな茶番を用意した」
私の言葉にAは少し息を吸った
どうやら少し驚いたようだ
でもAはすぐに一瞬強ばった顔を綻ばせた
A「盗み聞きだなんて、行儀が悪いじゃないか…」
太宰「…A、私たちはきっと再び会うべきではなかったのかもしれないね」
そうすれば…君も余計に悩むことはなかっただろうに
私のことなど気にせずに…
会った瞬間に事を成せていれば、君も私も互いを引きずることができただろうにね
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