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驚いている間もなく家の中に案内されて、家の見た目にも驚いたが玄関の広さにも驚いた。
なんだこれ、玄関だけで俺のアパートのワンルームの半分はある気がする。
天井からぶら下がってる照明もオシャレで何だか高そうだ。
人の家を見回すなんて失礼だから、これ以上見ないようにお兄さんの後をついていった。
「お茶今出しますね」
「あ、いえ。本当にお気遣いなく。お兄さんがいらっしゃるなら、私はもう帰りますので……」
「いやいや!!せっかく来てくれたのにすぐ帰ってもらうなんて!!それに俺もソクジナが体調悪いって聞いて様子見に来ただけで、普段は一人暮らししてるんですよ」
「あ、そうだったんですね」
「両親が丁度旅行行ってて、1人じゃさすがに可哀想だと思ってきたんですけど……こんな可愛い彼女が来るなら俺来なくてよかったな」
「え!?彼女!?違います!!」
こんな格好をしていてあれだが、さすがに俺が彼女なんてジナが可哀想すぎる。
慌てて否定をしたら、お兄さんが「じゃあジナの片思いか!!」なんて笑いながら言うから、いや、俺男なんですよと言おうかと迷ったが、大体それを言うと話が面倒くさくなるので、笑って流しておいた。
「あ、ソクジナの部屋案内しますよ。寝てるかもしれないけど」
「い、いいんですか?」
「大丈夫ですよ。あいつ綺麗好きだし、部屋綺麗なんで」
いや、俺が気にしてるのはそこじゃないんだけど。
お兄さんがどうぞというのでついて行くと、リビングを抜けた廊下の途中にあった扉の前まで止まり、ノックをした。
返事が返って来なかったから恐る恐る中を覗き込むように僅かに扉を開けて中を確認していた。
「寝てるみたいです。なんか寝苦しそうだし、冷えピタとかあったほうがいいかな……」
「あ、それなら私が―――」
そう言いかけたところで、お兄さんのスマホから着信音らしき音が流れ始めた。
急ぎの用事なのか慌てた様子で出て、話をしたあとすぐに電話を切った。
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作者名：萩焼 | 作成日時：2022年10月2日 21時
