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「あー、すみません。実は今日バイトがあって休む連絡をしてたんですけど、人が足りなくてどうしても来て欲しいと言われてしまって……。あの、ソクジナのこと頼めますか?鍵は帰る時にポストに入れて置いてもらえれば大丈夫なので!!」
「え、でも、」
「すみませんがよろしくお願いします!!」
「お、お兄さん!?……行っちゃったよ」
相当バイト先が切羽詰まっているのか、お兄さんは走って家を出ていってしまった。
1人取り残されたが、寝苦しそうだと言っていたジナを置いて帰る訳にもいかないし……と、諦めて鍵をスカートのポケットに入れた。
「ジナ、俺だけど。入っていい?」
「…………」
買ってきた冷えピタや市販の風邪薬と水を用意して、ジナの部屋をノックした。
やっぱり返事は返ってこなくて、恐る恐る失礼しまーすと小声で声をかけて、部屋の扉を開けた。
「うわ、すごいなこの部屋」
部屋に入った瞬間、まず目に入ったのは棚いっぱいに飾られた赤い帽子を被り、紺色のオーバーオールを着た髭の生えたおじさんのキャラクターグッズ。
確かこれ、日本のゲームキャラクターだった気がする。
なんだっけ……そう、マリオだマリオ。
それにもうひとつの棚にはピンク色の猫っぽいが寸胴な形をしたキャラクターのぬいぐるみやフィギュアが沢山飾られていた。
「本当に寝苦しそうだな……」
「ぅ…………」
そのあと、ようやくベッドの上で寝ているジナに視線を向けた。
額には汗が出ていて、前髪が張り付いていた。
きっとつらくて寝てることしか出来なかったんだろう。
持っていたハンカチで起こさないようにそっと汗を拭ったあと、前髪をはらって冷えピタを貼った。
ベッドのサイドボードに薬と水の入ったペットボトルを置いた後、とりあえず部屋を出た。
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作者名：萩焼 | 作成日時：2022年10月2日 21時
