性悪バッテリーができるまで【御幸一也】

1.遊びじゃない ページ3

　

　

「はあっ?女が投手希望〜??笑えんだけど、入れただけいいと思えよ、身の程知らず〜」

　

　

　

江戸川シニア入団初日。

私にとって最悪のスタートだった。

　

周りから沸き起こる笑いの渦。

先輩たちからの冷やかし、

同級生の冷めた目。

　

それが鋭い刃となって私に突き刺さった。

　

　

　

　

　

小さい頃から大好きな野球。

　

物心がついた頃には

毎日ボールを追いかけて、

ひたすらバットを振って、

バカみたいに泥だらけになって＿。

　

人一倍努力を積み重ねてきたのだ。

　

強いチームでプレイしたいとは言わない。

入れてもらえるだけでも、

親にも監督たちにも

ありがとうという言葉だけでは足りないくらい

感謝している。

　

その人たちのことを思えば

問題なんて起こしたくはない。

　

　

　

　

　

　

しかし…。

　

　

女だからとバカにされるのは

こちらも黙っておくわけにいかない。

　

　

雪永「…っ」

　

顔を歪め、爪が手のひらにくい込むくらい

強く握るとそれに目ざとく気づいた先輩が

また声をあげた。

　

「なんだ〜?泣いちゃいそうですか〜??遊び半分で来てんじゃねーよ」
　

　

　

遊び………?
　
　

その言葉に私の何かがプツンと切れた。

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