性悪バッテリーができるまで【御幸一也】

18.野球バカ ページ20

　

　

雪永「丸亀シニアと試合?」

御幸「そうッ、監督たちが話してるのたまたま聞いてさー」

　

　

学校での昼休み。

　

私は女友達とガールズトークに花を咲かせる

(とはいっても、恋バナなんて可愛らしいものではない)か、

こうして御幸と野球について

花を咲かせるというより

火をつけるような勢いで語り合うかの

2つのパターンに絞られる。

　

　

御幸「なんか来週?試合するらしい」

雪永「へぇー…、あっ、丸亀シニアっていうとなんだっけ…アー……アニマル?の息子さんがいるんだったよなー。すげぇ野球上手いんだろ??」

御幸「ああっ、強い人と試合なんてワクワクすんね♪」

　

　

随分と楽しそうに話す御幸。

相変わらずの野球バカだ。

"諦める"とか"くじける"なんて言葉は

御幸の辞書にはないにちがいない。

　

　

雪永「私も負けてらんないなー、よし!これはもう先輩からスタメン取る勢いで行くしかねぇ!!」

御幸「はっはっはっ、意気込みはいいけどオーバーワークになんなよ?」

雪永「任せとけ、今日の練習からプレッシャー掛けにいってや………ああ!?」

　

　

突然声を荒げた私に御幸はビクンと飛び上がる。

　

　

御幸「ど、どうした?」

雪永「忘れてた…」

御幸「何を?」

雪永「…今日私練習行けないんだったあああああああああああ………」

　

　

その場に崩れ落ちて

そういえば、朝に母親から用事を頼まれていたのだったと思い出す。

　

しかし、なんだ。

　

用事を済ませることが最優先だとしても

やはり、野球のお預けはつらい。

ひじょーにつらい…。

　

　

そんな私を見て、

はっはっはっドンマイ♪と

あのクソメガネが笑うものだから

容赦なく蹴りをいれてやった。

19.赤に染まる→←17.心地よくて

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す