大野先生。 (ページ45)

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毎日、同じ時間に鳴る目覚まし時計を止めて

ゆっくり起き上がる。

机の隣に置いてあるカレンダーの日付は
卒業式の日を指していた。

「………ついに今日、か…」

もう少し、もう少しと思ってる間に

迎えた卒業式の日は、

やっぱり……あっという間だった。

顔を洗って、リビングに行くと

お兄ちゃんとお母さんが

嬉しそうな顔で朝ご飯を食べてた。

「ついに今日ね。卒業……おめでとう。笑」

「まだ、卒業したわけじゃないから、笑」

「A！今日俺も行くからねぇ！
だから仕事休んで昨日から戻って来たんだよ！」

「……ありがとう、笑」

私よりも、嬉しそうに話してる2人を見て

思わず、笑顔になる。

卒業する、っていう実感がないまま

朝ご飯を食べて、歯磨きをして、制服に着替える。

「………３年間、ありがとう…」

いつも折ってた、スカートの丈を伸ばして

小さく感謝する。

髪の毛も、いつもより丁寧にセットして

鏡の前で何度も確認する。

「よし……んじゃ、行ってきますっ！」

「行ってらっしゃーい」

「俺達も後で行くからねー！」

こうやって、家を出ることも無くなるのかな

なんて思いながら

玄関を開けると

外は真っ白な世界。

雪、昨日も降ってたからなぁ…。

まだ、ぱらぱらと降る雪の中

傘をさすと

傘の影に、人影が映る。

「おはよう。笑」

「章大…おはよ、笑」

赤と緑のしましまのクリスマスみたいな

マフラーを首にぐるぐるに巻いてる

章大が立っていた。

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