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episode31幸太郎side ページ33

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 さて、最後のミッションは早川に電話すること。
 いきなり帰ってごめんね、という用件で、今日のことを聞き出すのだ。
 早川の、"ふたば"に対する印象を。

 電話帳を開き、は行の上から4番目にある早川くんの文字をタッチする。
 呼び出し音が鳴り、すぐに止まった。
 早川が電話を受けたのだ。


「あ、もしもし早川くん?」
「そうだよ、どうしたの〜幸太郎くん」
「今日はいきなり帰ってごめんね、自分から誘っておいて」


 予定通り話を進める。
 チラッと時計に目をやると、4時23分をさしていた。
 今日秋くんは6時半からバイトだから、既に早川とは別れているはず。
 すると、早川が電話口で声を弾ませた。


「それがね、聞いてよ幸太郎くん!」
「うん」
「カフェに行く途中で可愛い女の子に会ってさ、今日その子と遊んでたんだよ! いやぁ、ラッキーだったよ本当……」
「へぇ、そうなんだ、僕と遊べたより良かった?」
「お? なになに幸太郎くん嫉妬? 可愛いとこあるじゃ〜ん」
「うるさいよ」


 可愛い女の子、つまり秋くんはちゃんと女の子になれていたようだ。
 電話の向こうで騒ぐ早川。
 とてもうるさい。
 しかし、そのうるささの中に聞き逃してはいけない話を始めた早川に、僕は仕方なく耳を傾ける。


「それでさ、来週また会う約束したんだけど、彼女携帯持ってないんだって。ちゃんと会えるかな?」
「会えるんじゃない? 場所とか時間ちゃんと決めたんなら」
「そっか、そうだね。ありがとう幸太郎くん」
「ねぇねぇ、その子のことどう思ってるの?」
「ん? そんなこと聞くなんて、幸太郎くんは嫉妬深いな〜」
「嫉妬じゃないから。興味本意だし言いたくないなら別にいいよ」


 早川に変化球は脱線が過ぎるので直球を仕掛けたが、この男は茶化さないと生きていけないのだろうか。
 正直鬱陶しい。


「またまた〜。まぁいいや、あの子可愛いしすごいいい子なんだよ。そういえばその子と居る時、偶然南ちゃんと栞奈ちゃんに会ってさ。彼女って勘違いされちゃったよ。悪い気はしないけどね」
「へぇ、色々あったんだね、来週のデート頑張りなよ」
「うん、じゃあ俺今から電車乗るから切るね、ばいばい」
「じゃあね」


 南ちゃんと栞奈ちゃんに会った。
 藤沢さんと野口さんのことだろう。
 秋くん、大丈夫だったろうか。

 少々の不安を胸に、僕は夕飯の材料を買いに家を出た。

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綾音日和。@たこむし(プロフ) - 柚李さん» ありがとうございます! 更新頑張ります! (2017年2月21日 19時) (レス) id: 61bdcd300b (このIDを非表示/違反報告)
柚李(プロフ) - テストお疲れ様です! これからも更新頑張ってくださいね! 応援してます♪ (2017年2月21日 17時) (携帯から) (レス) id: 08c9ef1253 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:綾音日和。@たこむし | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aromalight2/  
作成日時:2017年1月19日 21時

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