恋は盲目、愛は執着【青の祓魔師】 (ページ15)

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第14話嗤う白い悪魔ページ15

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ヨーロッパ風の大きな屋敷の中の豪奢な一室。

「やれやれ。肩に力が入りすぎですよ先生…もっと人生味わわねば」

奥村燐。青焔魔(サタン)の――青い炎を継ぐ子。
あの炎は悪魔に有効だった。
不安定でまだ感情に振り回されているようだが、センスは良いようだ。

自在に扱えるようになれば私にとって
最高にユニークで最強の兵器になるだろう。

ただし監視は必要だ。
使い物になる前に騎士團上層にはバレたくない。
まあ、時間の問題だろうが……。

「それに敵は騎士團の上層部だけじゃない。そろそろ父親(サタン)も動き出す」

浴衣を着たメフィストは先程の電話相手――奥村雪男に向けて言う。
メフィストの返事を聞く前に、電話の向こうからはツー、ツーと無機質な音が耳を掠めた。
通話終了のボタンを押し、俯いていた顔を上げる。

メフィストは携帯電話を机に置き、桜餅を食べる。
携帯電話を置いた方の手で、近くにある資料を手に取る。

――――正十字学園1-特A、A・ナアマ。
今年の高等部1年であり、入試2位通過。

12年前に交通事故により意識不明の重体になり、去年目覚める。
年齢は28だがこのことを踏まえ特例で(・・・)入学。
学園に通う間は16で年齢を通すことになっている。

家族構成は兄1人。
両親はA・ナアマが3歳の頃に火事で死亡。
兄は奇跡的に軽いやけどで済み、1週間後に退院。

その当時、A・ナアマは親戚に預けられていた事により生存。
その親戚は青い夜、青焔魔(サタン)の炎により死亡。

これが現在の女の人生らしい。
"普通に生きたい"と願い死んだ女はもう既に悪魔に関わっていた。
私ではなく父上(サタン)絡みということは気に食わないが仕方ない。

今度の契約は勝負にしよう。
私の憑依体が劣化しきるまで永遠に傍に置く。

あぁそうだ。
時を止めてしまおう。

今日すれ違った女は死ぬことを求めていなかった。
だが、時計が好きという部分は昔のままだ。

ならば。

女の時間を止めて、秒針が動かないようにすれば良い。
死なせはしないが、生かしもしない。

女が生まれてくるのにもう何百年も待つのは飽きた。
女の魂が自分の手からすり落ちるのも我慢ならない。

「幸い特例である故に寮は1人部屋…。ま、私としても色々と(・・・)都合が良くて助かります☆」

メフィストはそう言うと、優雅な動作で資料を引き出しの中へとしまった。