環くんと世界一 ページ33
もう、Aさんのことなんてわかってる
(Aさんは優しいから、そんな風に笑って、誤魔化して)
どんなに笑っても、目が"寂しい"って、訴えかけてる
(俺はその言葉が…欲しくて堪らないのに)
寂しいよ、会えなくなっちゃうの嫌だよ、なんて子供みたいに泣いてくれ
そんな強請りが、甘えが、欲しくて堪らないなんて
(…こんな俺を知ったら、Aさんはどつ思うんだろうか)
内の欲望を抑え、頬をするり、撫でるとAはみるみるうちに笑顔を崩して
「…だって、環くん困っちゃうから
私が寂しいなんて言ったら、困っちゃうから」
ふるふる首を振る彼女が────愛おしい
「困らない…寧ろ、嬉しいよ
俺も、寂しいから」
くすりと小さく笑うと、Aは「本当…?」と顔を上げた
「うん、だから、無理して笑わないで
もっと我儘言ってくれて構わない
俺の前では、素のままでいて────」
想いに任せてぎゅっと、その華奢な身体を抱き締め、耳元で囁いた
「…環、くん」
甘い声に、頭がクラクラする
余っ程俺は彼女に夢中────所謂ぞっこんらしい
彼女とのことを報告したミリオにも同じことを言われた
「…我儘、言ってもいいの?」
掠れた声に、「うん」と頷く
「…本当は、寂しい
昨日も…寂しかった」
泣きそうな声に、天喰の胸は締め付けられた
「…あのね、環くん
出張する前の日、ご飯、一緒に食べよう?
私、環くんの好きな物、沢山作るから…」
そう言うと、彼女はばふっと天喰の胸に顔を押し付ける
(嗚呼、もう…、なんでそんなに可愛いんだ)
こんなに想われて、俺は正直世界一幸せだと思う
「…うん、食べよう
楽しみにしてる」
笑みを零しながら、そっとイヤリングの光る耳に「好きだ」と囁いた────
出張前日
明日に備え、荷物をまとめる天喰のスマホが振動した
見れば、彼女からのメッセージが来ていて
『やっと完成しました!遅くなってごめんね
どうぞ来てください』
時計を見れば、予定を随分上回った6時過ぎだった
「予定は昼って言ってたけど…
作るのに苦労したんだろうな」
必死に色んな料理を作るAの姿を想像しただけで心が温かくなる
『わかった、ありがとう』
そう返事をして天喰は手荷物を持ち、すぐにマンションを飛び出した
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天喰ルナ - 天喰推しにはたまんない、、、最高です!!最後まで見ます!! (2021年1月12日 17時) (レス) id: e8de5457df (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 一姫さん» すみません、スタマイではありません…。私が考えた架空の製薬会社名なのですが、同じような名前の会社があるのでしょうか? (2019年12月17日 18時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
一姫 - 夏目製薬って、もしかしてスタマイですか?!.。.:*・'(*°∇°*)'・*:.。. (2019年12月17日 14時) (レス) id: 2938947de7 (このIDを非表示/違反報告)
一姫 - 夏目製薬って、もしかしてスタマイですか?!.。.:*・'(*°∇°*)'・*:.。. (2019年12月17日 14時) (レス) id: 2938947de7 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 林檎さん» コメントありがとうございます!一応ではありますが完結しました!続編もこれから書いていきますので、見てくだされば幸いです!これからも更新頑張ります! (2019年2月22日 20時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あろま | 作成日時:2019年2月10日 21時