環くんと心遣い ページ34
ピンポーンと軽快なチャイムの音に、Aの心臓は跳ねる
「環くん早い！」
支度、部屋を確認してから、前髪を整えてドキドキしながらドアを開けた
「こんばんは」
「こっ、こんばんは、環くん！」
緊張で声が裏返る
思えば、Aが天喰を家に呼ぶのは初めてだった(歓迎会事件の時はノーカウントとする)
「あ、上がって！」
促され、上がった途端、いい香りが鼻を掠めた
以前送り届けたときと変わらない、柔らかな雰囲気のワンルームだ
天喰は緊張しながら用意された座布団に座った
「ごめんね、狭い部屋で…！」と言いながら、Aは大きな鍋をテーブルに置いた
「ううん、そんなことない…なにか手伝うよ」
「たっ、環くんは座ってて！お客さんなんだから！」
花柄のエプロンをつけた眩しいAの笑顔に、天喰は「そっか、ありがとう」と微笑んだ
決して広いとは言えないテーブルに並んだのは、魚介のパエリア、ジンジャースープと煮物…と
「またバランス悪いね…」
「そんなことない、…というか、こんなに作ってくれたのか」
見たところ、この部屋にはコンロが2つしかなく、キッチンはハッキリ言って狭い
「環くん煮物が1番好きって言ってたから、煮物作ったんだけど…
もっと環くんの好きな物作りたかったんだけど、明日のこと考えたらやっぱり戦うとき使えそうなのがいいなーとか考えちゃって
タコとかホタテとか、魚介はすっごく使えると思うし、後、生姜は深く根を張るって言うから…なんかで役立つかな、とか…」
どんどん彼女の声が小さくなっていく
すっかり彼女は落ち込んで眉を下げている────まるで耳を下げた仔犬だ
「……そんなに色々考えながら作ってくれたの？」
自分の好物を作ってもらうより────天喰は嬉しかった
戦って個性を使う時のことを、自分のことを、しっかり考慮してくれている
なによりその心遣いが、胸にじんわりと染みて
「その心遣いが嬉しい
ありがとう、1口ひとくち大切に食べる」
「…！うん！」
2人、手を合わせて「「いただきます」」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 589人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
天喰ルナ - 天喰推しにはたまんない、、、最高です！！最後まで見ます！！ (2021年1月12日 17時) (
レス) id: e8de5457df (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 一姫さん» すみません、スタマイではありません…。私が考えた架空の製薬会社名なのですが、同じような名前の会社があるのでしょうか？ (2019年12月17日 18時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
一姫 - 夏目製薬って、もしかしてスタマイですか？！.｡.:*･'(*°∇°*)'･*:.｡. (2019年12月17日 14時) (レス) id: 2938947de7 (このIDを非表示/違反報告)
一姫 - 夏目製薬って、もしかしてスタマイですか？！.｡.:*･'(*°∇°*)'･*:.｡. (2019年12月17日 14時) (レス) id: 2938947de7 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 林檎さん» コメントありがとうございます！一応ではありますが完結しました！続編もこれから書いていきますので、見てくだされば幸いです！これからも更新頑張ります！ (2019年2月22日 20時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あろま
| 作成日時：2019年2月10日 21時
