【妖怪ウォッチdaze2】進化と行進【第５章】

163本目 ページ16

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ア「あいつも自分なりに"何か"の答えを探してる。ホントはその邪魔をしたくないんだが、今はそんな事言ってられねぇ.......」

口元の笑みをすっと収め、かつて見せたあの冷たい刃をその目に浮かべた。

ア「あのクソ共を叩き潰さねぇと、それを考える事も出来なくなる。私達が今やってるこれが最善策なんだ」

ぐっと、ピンセットを持つ指に力を込めたのが解った。そこで私は、今までずっと気になっていた疑問を投げ掛けた。

貴「......前から思ってたんだけど、なんでアクターは神蛇の力を使わないの？」

アクターがこの街に戻ってから、私は１回もアクターが神蛇の力を使っている所を見ていない。ウィスマロマンはシニガミの力を吸収したと言っていた。なら、対抗出来るのは神蛇であるアクターだけ。彼女が力を使えばウィスマロマンは愚か、ジョーカーさえも倒せるかも知れないのだ。

しかし彼女は１度も力を使おうとしない。一体何故......

ア「......旅をしていて解った事なんだが」

顔は上げず、作業を続けながら彼女は言った。

ア「どうも、この力は使えば使った分だけ、能力者の体力を大きく削るみたいなんだ。失った分の体力は１日経てば戻るが、それまでは思う様に身体が動かなかったり、最悪一日中寝てた事もあった」

そう言えば、プリズンブレイカー脱走事件でアクターがあいつを完膚なきまでにボロボロにした後、その日丸１日アクターは部屋で寝込んでいた。
あれは力を使った時の後遺症だったのか.......

他にも使えない、否。「使わない」理由がある様だが、それは聞かない方が良いかも知れない。

能ある鷹は爪を隠すって言うけど、今の彼女はまさにそれだった。

彼女は他にも、何か武器を隠している。

ア「.......さぁ、話は終わりだ。作業に戻るぞ」

貴「うん」

そうだ。今はこんな話をしている場合ではない。

早くこの最善策を完成させなくちゃ。

そして再びペンチを握り、パーツの組み立てに掛かった。



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