孤独の女王【あんスタ】【アイカツ！シリーズ】 (ページ23)

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神崎美月Side ―――――――――――――――――――――――――――

「――ねぇ、A。本当に大丈夫なの？」
『…え？』

　ライブ本番数日前。最後のオフ日。私とAはカフェでゆっくりしていた。
私が急に発したその言葉に動揺しているA。
　でも、直ぐに気を取り直して言葉を紡いだ。

『…大丈夫だよ、美月。
――私ね、夢ノ咲へ来て、レオさんに出会って、良かった』
「…っ」

　彼女の口から、“レオさん”という言葉を聞くたびに胸がきゅっとしまる。
　彼女と月永さんは忘れたまま。多分、どちらかが記憶を取り戻しても、きっと話はしないだろう。

「…そっか」
『うん。
　あと、あとね。
　――私、レオさんとの“何か”を忘れているんだと思う』
「――っ」
『だって、レオさんと話す一言一言が、なんだか懐かしいからさ』
「――そっか、そうだね」
『って、なんで美月が泣いてるの！？』
「ううん、なんでもない。なんでもないよ…！」
『嘘つけ、泣いてるのがなんでもない証拠でしょ？』

　Aは、記憶を取り戻していなくても、勘で、月永さんの隣にいるんだ。
　なんだ、心配することなんてないじゃない。瀬名さん。
瀬名さんが思っている通りに、この二人は、“元通り”になる。

「――心配、する必要はなかったみたいね」
『え？何のこと？』
「なんでもないわよ。
　それよりも、氷菜。漣さんとのライブ、頑張りなさい」
『――勿論！！
いつだって、最高のライブにするんだから！』