日常11 ページ19
イトリside
チリンチリーン…
「いらっしゃ…」
…うげ。
「…やっほ、イトリさん」
顔をげっそりさせたAがカウンター席によっこいせっと言いながら座る。
一瞬お婆ちゃんに見えたわ…。
「どうした…?宗太とまたなんかあった?」
「あったわけじゃないけど…宗太が家に転がり込んでくるひんどが増えてね。しかも我が物顔で居座ってくるんだよん」
「へ、へぇ〜」
…絶対あのときの事が宗太の中で響いてるんだろうな。
カウンターに突っ伏したAの前にサッと血酒を用意した。
チリンチリーン…
「宅配便でーす。旧多二福様からこの店の店長あてにお荷物です」
空気読んでくれや…。
「イトリさん呼ばれてるけどん?」
「あ〜…はいはい…今行きますぅ」
「あ!私がサインするよん!今日はどうせこのままお手伝いコースだし」
アタシがカウンターの中から出るよりも早くAがカウンター席から降りて宅急便のお兄さんの元へかけていく…お婆ちゃんモードはどうした?
こんなところでイイコちゃんモード発動しなくていいのに…目の前にズイっと差し出される箱にアタシは内心ヒヤヒヤだ。
なんたってこれはあのときのワイロなんだから…。
「凄いねん。これ有名なブランドの箱だよん」
「お、おぉぉ…ありがと」
そりゃあ中身ヴィト○のバッグだからね…。
「さっき宅急便さんが言ってた旧多二福って宗太のもう一つの名前だね」
「え?あぁ…そうだったっけ?」
「前にイトリさんが教えてくれたんじゃん?」
「そ、そうだったっけ?あはは…」
1ミリも邪気のない笑顔で差し出される宗太からのワイロ……いや、これは正当な報酬だからワイロってのとは違う…うん…とりあえずAの目につかない所に置いておかないとアタシのメンタルがもたないわ。
「イトリさんって宗太と付き合ってたりするのん?」
ゴン!
「あ〜なにやってんのイトリさん、ブランドの箱落としちゃって」
「…アンタ今とんでもない事言わなかった?」
弱りかけてたメンタルがある意味復活した。
落としたブランドの箱を拾って今度こそAの目の届かない所へ放り込んだ。
「だってよくぴえろの仕事とかで一緒に行動してるし、みつがれてるし?」
「アイツとアタシが付き合うなんて地球が自転するの止めるくらいありえないから」
「例え話のキボが大きすぎる件」
「それだけアリエナイってことよ分かりなさいバカ!」
★
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しゅー - つばきさん» パスワードを教えていただけないでしょうか 続きがどうしても見たいです! (2022年11月10日 6時) (レス) id: b8c93be065 (このIDを非表示/違反報告)
ロジュ - すごい素敵です✨ (2022年11月10日 6時) (レス) id: b8c93be065 (このIDを非表示/違反報告)
つばき(プロフ) - 名無しさん» イエスです。1番最初の主人公紹介にくわしく載っけてますので、よかったら見てください! (2018年4月25日 22時) (レス) id: 6182659536 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 主人公の口調は語尾に「〜ん」がつく感じですか? (2018年3月20日 14時) (レス) id: 0003b3e86d (このIDを非表示/違反報告)
つばき(プロフ) - Sinoさん» 待っていてくださって、コチラこそありがとうございます。°*ノロマノロマ+気分更新なのが申し訳ない…(泣) (2018年3月12日 21時) (レス) id: 5e1b7d3caa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:つばき | 作成日時:2016年6月4日 23時