届かぬ声 ページ8
この声確かにサソリだ
お姉さんが言った通り本当にサソリが来たんだ
きっと私だと気づかずに攻撃してるんだ
あれから数年も経って私ももう大人
前とは見た目が変わってるから
サソリも誰かにいつも追われてるみたいだったからきっとその人と勘違いしてるんだ
違うって気づいたら攻撃をやめてくれる
そう思って少年を抱えたまま声のする方へと走った
声のする方へ行くとそこにはサソリとはかけ離れた外見をした人がいた
一瞬戸惑ったが中にサソリがいるとすぐわかった
貴「久しぶり！！サソリ！！私だよ」
サソリは攻撃をやめなかった
なんで？
貴「わ、私だよ！！Aだよ！！」
もう一度呼びかけて見たけどそれでもやめない
応答がない、よく考えてみたら心の声も途切れ途切れで何を言ってるのかわからない
サソリは今冷静じゃないんだ
このまま放っておいたらサソリは他の人の事まで傷つけてしまう
私は少年の少し離れたところに置いて、サソリを止めることにした
針の攻撃が飛んできた
私の方へと飛ばしてくると思っていたがその針は少年の方へと飛んでいった
とっさの事で弾くことができず、自分を盾にすることしかできなかった
攻撃を喰らってしまった
毒が体内を回るのがわかる
呼吸がどんどん苦しくなる
意識がなくなる前にサソリを止めなきゃ
私は武器を捨てサソリに近づいていった
貴「大丈夫だよ」
そう言っていつものように笑いながら
サソリが攻撃をやめた
貴「サソリ！！」
もう一歩踏み出したら、私は尾に切り裂かれた
慌てて下がったが遅い
かなり深く喰らってしまった
私は最後の力を振り絞ってまたサソリに呼びかけた
一緒に涙も出てきた
貴「サソリ……お願いだから…もうやめて！！」
また攻撃が止んだ
今度こそ今度こそ
元のサソリに戻ってくれたかな
立っているのがやっとだった私はその場に倒れ込んでしまった
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作者名：リンネ | 作成日時：2019年8月6日 16時
