秋桜（by.ROOMS）8『完結』 (ページ39)

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「Aさん」

みんなが繰り広げる楽しい会話に耳を傾けながら、パリパリ、とポテトチップスを食べていたら、隣に移動してきていた松本さんに話しかけられる。

「はい………」

「俺が言うのもなんだけど」

「？」

「今日は送別会じゃないからね？
これから………少し距離はできるけど、
俺と相葉さんがものともしなかった距離って、知っているでしょ？」

「………」

「どうしようもなく淋しくなったときは、
俺らのこと思い出して、会いにおいで？
いつでも待っているから」

「………はい」

松本さんの言葉に込み上げてくるものがあって胸が熱くなる。

「あーっ！！ちょっと、松潤がかすみちゃん泣かせてるよっ？にの！」

「エッ？俺？」

相葉さんの指摘で、突然、名前を出された二宮くんが調子外れな声をあげる。
松本さんは、相葉さんの声には我関せずで、私にティッシュを差し出してくれる。

「俺、Aさんに、いつでも会いにおいでって言っただけだけど？」

クールな笑顔でサラッとかわす松本さん。
相葉さんは、うんうん、と頷いて笑ったあと、小さくため息をついて………少し眉を顰めた。

「翔ちゃんもかすみちゃんも、一緒に来たらいいのに。向こうでだって、大学はあるし、資格は取れるでしょ？俺はみんな一緒がいいなー」

誰もが言いたくても、口にはしてこなかったことを、素直に言葉にできる相葉さん。

櫻井さんと二宮くんが、笑っていた顔のまま視線を落として、コップを見つめてる。

「………相葉ちゃん」

サトシさんの声に、みんなが顔をむける。

「俺と相葉ちゃんが、ちゃんと会えたみたいに、想いあってれば、つながっているから大丈夫なんだよ」

サトシさんの言葉に、櫻井さんが動きを止めて、サトシさんを見つめる。

「翔くんも、高橋ちゃんも。
夢、かなえてね。うまくいくように、応援しているよ」

櫻井さんの口元が、少し震えたあと弧を描いて、やっぱり震えちゃって、額を手で抑えて顔を隠してしまった。

「夢叶える一番てっとりばやい方法、選んでくれたんだから、俺たちは待ってりゃいーんだよ」

目を赤くした二宮くんが、吐き捨てるようにそう言って笑った。