37.2 ページ8
「サトシと翔ちゃんが………」
「？」
「デートん時の高橋さん、すごい可愛かったって………ぷっ、ふはははは」
「………今日は、いっぱい歩くから、体温調節しやすくて、動きやすいという点を重視して服を選んでみました」
「ああ、そう？」
………だって。
二宮くんと出かけるって意識しちゃったら、なんか、すごいリアルで。
可愛い系も、キレイ系も、狙えなくなってしまった。
それで、出来るだけデート感出さずにしたいって基準で選んでいったから、
結果、二宮くんよりクールに仕上がっちゃったんだもん。
「まぁね。可愛いんじゃないですか？
やんちゃな感じで。ふはは」
まだ、笑うし。
若干、拗ねたくなるけれど、堪える。
今日は、遊びだけど、遊びじゃない。
目的あっての、ことなんだから。
「で？どこ行くって？」
ひとしきり笑った二宮くんに訊かれる。
「え？この辺だよ？」
「………買い物付き合えばいいの？」
「ううん、散歩」
「アレ、マジだったの？」
「？うん」
ちょっと待ってくださいよ、て感じに、口元を手で抑えて、少し上に視線を逸らす二宮くん。
何がおかしいのか分からなくて、二宮くんを見つめる私。
「仮に、1時間1kmのスローペースだとしても、5時までだと8km歩いちゃうわけよ？」
いや、二宮くん遅刻したし、櫻井さんのとこに5時までには着きたいから、実際にはそのペースだと7kmがいいとこかな？
「俺、そんなに体力、自信ないんだけど……」
「………二宮くん、運動神経すごいいいじゃん」
「瞬発力があるってだけでしょ？
俺、体力の無さについては自信あんの」
なぜか誇らしげに言い切る二宮くん。
「じゃあ………さ、適度にお茶の時間入れたりして………すれば、いいじゃん？」
「高橋さん、日本語変だよ？」
二宮くんと出かけられるのは、すっごくすっごくすっごく嬉しいけど、今日はただ出かけるって言うんじゃないから。
サトシさんの地図作りたいなんて、言えないし。
口淀む私を見て、「ん？」て、続きを待ってくれるけど、二宮くんが納得するような説明はできない。
「………とにかく、俺と散歩したいのね？
この辺を。一日中」
頷くしかなく、コクン、と頭を下げる。
「………思い出作り？か、なんか？」
………そう言うことでも、いいかな。
にやり、と笑ってしまう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 100人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：えりんこ
作成日時：2014年9月5日 21時
