10.4(sideA) ページ4
『〜もぉ〜!!』
俺だって焦っている。
大ちゃんの元に全速力で走ると、
そのまま大ちゃんの手を取った。
『相葉ちゃん、どうしたの?みんな、急に騒ぎ出した』
『誰かこっちに来ているみたい』
『村の人?』
『〜違うと思う。騒げば騒ぐほど、足音がこっちに向かってくるから』
息を切らしながら、山の中腹に向かう。あそこなら、洞窟も多い。
小径もないし、方位磁石も効かないって言うから、俺たちにしか辿り着けないはず。
木々は相変わらず騒がしい。
きっと不安が不安をよんで、収拾がつかないことになっているんだ。
ぐんぐんと成長して、
大木になるものまで出てくる。
……大ちゃんを隠そうとしているんだ。
『あの人たちの狙いは、大ちゃんなんだね?』
すぐ横に自生していたカタクリに訊く。
小さく震えて頷くカタクリ。
『大ちゃん!こっち!』
汗でベトベトになった手を繋ぎ合わせたまま、走り抜ける道。
どうにか皆を黙らせないと、
皆が騒ぐ先に、俺らがいることが分かっちゃうよ。
事態がわかっていない大ちゃんと、
走りながら、もう、酸欠の頭を回転させまくる俺。
その時ー
70人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:えりんこ
作成日時:2014年6月10日 22時