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11.6(sideA) ページ12

俺自身、活力を取り戻すまで
一年近くかかっちゃったけど、
それから、
一つ一つの木に話しかけ、
再生しようって
応援した。

毎日、放課後は森へ出かけ、
大ちゃんと巡った場所を辿った。
俺たちは
どんな状況でも
生きなきゃいけない。


あまりにも大きなものを失ってしまったけど
ここは大切な場所だ。
俺たちが腐っちゃったら
大ちゃんが悲しむんだよ。


毎日が積み重なり
月日は流れ
一年、二年と経過した。


ようやく活力を取り戻した森は
その『原生』の生態系が認められ、
国の『保護林』になった。


この春、高校を卒業した俺は、
ここを守る『森林管理局』の森林官として現地契約社員として採用された。


それまでも、
ヒマを見つけては
同じような生態系を保つ森林を探し
大ちゃんの足取りを探ったけれど
手がかりは全然なかった。

どの木々も知らぬ存ぜぬだった。

学生じゃなくなり
情報も入手できる状況にいる今、
今度こそ
大ちゃんを取り戻そうと誓った。


大ちゃんと
よく登っていた 椎木に登り周りを見渡す。
ここはちょっと……少し…
結構…
変わっちゃったとこもあるけど、
みんな待ってんだかんね?!

森の間を風が吹き抜けて
皆が少し饒舌になる。


12年目。
俺は、大ちゃんを取り戻す!

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作者名:えりんこ
作成日時:2014年6月10日 22時

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