GRAY 2

もうひとつ、伝えたかった事 ページ41

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「俺も平気。涼太連れてこよっかな」


相葉サンが楽しそうに言った。





「………野球誘って大丈夫なんですか？」


ケイト君が心配そうに尋ねる。


「え？………あっ！
ほ、ほら、焼けぼっくいに、火って言うの？
涼太もまた好きになると思うんだよねっ、野球。
みんなでやっていけばさ」


泳ぎまくる相葉サンの目
相葉サンのその場しのぎだったデマ
ケイト君にバレんのも
時間の問題だな


「ニノも平気？土曜の午前で」


「はい。平気ですよ」


「智くんのバイトは、金曜を夜勤にするとして
そのまま夜勤明けに………うん、いけそうだな」


大野サンのマネージャーかなにかですか？


「じゃ、来週。また、あそこで野球しよう」


翔さんの言葉に一同で頷く


「あと、俺から言えることと言えば……」


翔さんがニンマリ、と笑う。


「ケイト君、
ジャンプとかマガジンとか読んでる？」





………？






「………週刊誌、ですか？
いえ………特には………」


先の読めない翔さんの言葉で、
みんなの頭に疑問符がつく。


友情、努力、勝利、みたいな？
理念の話？



「………俺と智くん、毎週買ってんの。
今度、貸すから読んでみて」


「………はい」


真意のわからない会話に
困った様子のケイト君。


そりゃそうでしょう



翔さんは
大切なものを愛でるような、
慈しみ溢れる眼差しで微笑った。


「俺の弟ね？ずっと入院してたんだけど。
毎週、楽しみに読んでいたんだ、漫画の週刊誌。
次週が、楽しみで待ちきれないって。
その積み重ねで……いつだってずっと、"明日"を待っていた」


翔さんの
たぶん、他界した弟の話


「たぶん、そういうのでいいんじゃないかな？
明日を迎えに行く気持ちが、少しでもあれば
それを希望って呼んでいいんだと思う。
それがあれば、人は生きようとする力を作り出せるんだと、俺は、思っているんだよね」


翔さんの言葉に
ケイト君が大きく頷いて


後ろでは大野サンが
額に手を当てて
困ったみたいな顔で笑いながら……泣いていた



隣に座る翔さんの肩を、
ぐーパンチしながら笑う、泣き顔の大野サンは
子どもみたいで。


翔さんは「してやったり」ってカオして
大野サンの肩をポンポンと、叩いた


そのやりとりを見守る俺たちに
意味はわからなかったけど


大野サンが照れたように
でも
拗ねたように笑うのがおかしくて


いい光景だな、と思えた



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