GRAY 2

教室の雰囲気 ページ30

.


「あの……皆さんの分も、お出しします？」


ニノがニコニコと笑いながら警官に向かって訊く。


本気とも冗談ともとれるそれに、
4人いた警官が顔を見合わせてから笑う。


「いや、我々の分はいいよ。
あくまで待機室だから。
じゃ、座って？」


警部と呼ばれていた人にそう促され、
席に着く。


横一列に並ぶ方で中央にケイト君を座らせ
挟む形でニノと相葉くん。
相葉くんの隣、一番窓側に松潤、
反対サイド廊下側に俺と智くんが座る。



「なんかさ、オリエンテーションみたいだねっ？」



相葉くんの言葉に、


「アナタ、少し黙ってなさいよ」


クスクス笑いながらニノが突っ込む。


「オリ、オリ？」


俺の隣では、
アタマに？だらけで復唱している智くん。


「オリエンテーション、ね」


教えてあげると、合点したように
「おぉ、そっか」
頷くけど……智くん、意味 分かってないよね？


警察署内という厳粛な場所にも関わらず、
教室内にいるかのように会話を弾ませる俺たちを見て、警部が溜め息まじりに切り出す。


「……君たち、身分証ある？」


警部に言われ、一斉に顔を見合わせる。


「身分証、ですか……」


言われて出せたのは、俺の運転免許証だけ。


「他の5人は？学生証とか、保険証とか、ないの？」


「学生証、映画とか学割使う時はいつも、持ってるんですけど。
今日は、病院行くわけでもなかったしなぁ」


本当に残念そうに相葉くんが言って、
警官たちから失笑を買う。


「君は？成人しているんだよね？
免許証とかないの？」


警部が智くんに向き直る。


「ありません。
今んとこ、車を運転したいと思ったことないんで」


賢まって智くんが答えるけれど、
論点がズレてる。
思わず笑いそうになって俯くと、
同じく俯いて肩を震わすニノが見えた。



「じゃ、今から渡す紙に住所、氏名、年齢、生年月日、連絡先、保護者名を書いて。
学生の子は、通っている学校とクラスも。
その間に1人ずつ、別室で簡単に話を聞かせてもらう。
……それから一応、決まりだから、保護者の方に迎えに来てもらうので、そのつもりで」


警部の言葉に肩を揺らすニノたち。


「「「エ？」」」


「君たち、未成年だろ？
それに、こういう時は身元を保証する人が必要なんだ」


「身元……先生っ！！」


相葉くんがそう言って、手を挙げる。
さっそくやった、と一斉に笑い出す俺たち。



.

背負った境遇→←ドラマとは違う部屋

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す