猫のように愛でましょう【ほのぼの】 ページ40
前略、朝起きたら猫耳と尻尾が生えていた。
誰にも見つからないように忍の如く息を潜めていたにも関わらず先生に見つかってしまった。
なぜこういう時に限って会いたくない人に遭遇してしまうのだろうか。脱兎の如くその場から立ち去ったもののすぐに追いつかれ彼に連行され今に至る。
私はというと先生の膝の上に座っているという傍から見たら恥ずかしい体勢でいる。
「これ本物なの?」
「たぶん……」
先生が興味深そうに耳と尻尾を指先で触れてくる。
はっきり言うと触らないで欲しい。これは嫌悪感からくるものではなく敏感に感じるが故である。
言葉では具体的に表せないのだが、こう、踏み入れてはならない領域のぎりぎりの境界線に立っている気がする。
「そ、それ以上、触られるとっ」
不意に先生の指先が首筋に当たる。ほんの僅か触れただけだったが私にはそれで十分だった。
「ひゃぅ」
随分と腑抜けた声を出してしまった。慌てて口を塞ぐも既に手遅れで先生が悪戯小僧のように笑うのだった。
「ふふ、A可愛い」
機嫌が良くなったのか彼は鼻歌を歌い始め更に私に触れてくる。
「い、いじめ! いじめですよ先生!」
「いじめてないよ。生徒が可愛い姿をしてるから愛でてるだけ」
「その手つきが! こう、いやらしいんです!」
「えー? 別にそんな気はないんだけどなー」
感情の籠ってない返事をすると先生はしきりに首に触れてくる。
「や、くすぐった……いです」
「我慢しない、我慢しない。ね?」
今度は顎の下を指先で撫でてくる。今までにないくらい身体が反応しているのが分かる。
「ん……にゃ……っ」
「気持ちよかったら啼いていいんだよ?」
「ぜ、絶対泣きませんから!」
「そういう意味じゃないんだけどなー」
何を言っているんだろうか、この人は。
先生の本心など露知らず、私は目に溜まった涙を流すまいと必死に堪えたのだった。
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作者名:弓兵 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/archer0/
作成日時:2020年10月14日 23時