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見透かされてる。
…てゆーか、やっぱり二宮先輩気づいてるんだ、Aが自分のこと好きだって…
和「…普通気づくからね」
由美「え?」
和「…でも、今俺が由美と一緒に登校しなくなって痴漢に遭うようになったら、それこそ気にするんじゃない?」
由美「…、」
和「気にしすぎ。それ、Aちゃんに失礼」
由美「…え…?」
…何も分かってないくせに、そんな言い方…
和「俺がAちゃんの立場だったら、由美痴漢に遭うのが一番嫌だけど」
由美「……」
だめ、どうしていいか分かんない。
…どっちにしてもAにイヤな思いさせることには変わりないじゃん…
顔を合わせないように俯くと、“おい”って頭の上からいつもより低い声が降ってきた。
和「そうやって友達のこと考えて悩んでんだから、分かってるよ、Aちゃんも」
由美「……」
和「由美が辛い立場だって分かってくれてる」
…どう考えても、一番いい答えなんて見つからなかった。
このままが朝二宮先輩と登校し続けても、
あるいはひとりで行き始めて痴漢に遭ってしまっても…
Aが傷つくことは目に見えてた。
友達なのに、それを解消することすら出来ないなんて…
そんなこと考えてたときだった。
私で傷つけてしまうなら、逆にAに幸せをあげられる方法はないか…
そして出てきた答え。
由美「二宮先輩!」
和「へ?」
由美「デートの日、Aに直接伝えてあげてください」
和「……、」
由美「私が伝えるより、何百倍も喜ぶと思います!」
そうだ、それがいい!
そしたらA、死ぬほど喜んでくれるはず…!
由美「ホームルームの前にちょっとだけ!時間ギリギリですけど…!」
和「…」
二宮先輩は少し黙り込んだ後、“わかった”と言ってくれた。
*
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作者名:うさこ | 作成日時:2015年12月15日 19時