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智「……、なに、じっと見て」
A「、いえ(笑)」
智「なに?気になるじゃん」
A「、大野先輩って真剣になるといつもそうなりますよね」
きょとんとした表情も、なんか和む。
A「唇尖ってるし、眉間にしわ寄ってるし(笑)」
智「ん?そう?気づかなかった」
A「それだけ真剣って事ですね(笑)」
そう言うと、またキャンパスに目を向けた。
真剣…
人には優しいのに、自分の好きなことには妥協しないその姿勢が、すごいなって思う。
あたしにはないものを大野先輩は持ってる。
智「…あ、そういえば聞いた?」
A「、なにがですか?」
智「ニノ、お盆あたりは予備校休みだって」
A「え!?」
うそ!ほんとに!?
智「…そんなに嬉しい?」
A「そりゃあ、……」
“嬉しいです”って言おうとしたけど、言えなかった。
A「…どうしたんですか…」
智「え?」
A「……」
一瞬どうしたらいいか分からなくなった。
大野先輩、今にも泣きそうな、悲しそうな顔してた…ように見えた…
智「、お祭り、みんなで行く?」
A「、いいんですか!?」
智「いいんじゃない」
A「行くっ!行きます!絶対いきますっ!」
智「じゃあニノに言っとく」
…さっきのは見間違えだったのかな、
…そうだよね、大野先輩がそんな顔する理由、どこにもないし。
智「あ、Aは浴衣ね」
A「、」
智「可愛いだろうなー、Aの浴衣姿(笑) 」
大野先輩とふたりで話すようになって気づいたこと。
可愛いって言葉を結構平気で言う。
あたしに言ってるくらいだ、きっと大切にしたい好きな人にはもっと言ってるんだろう。
…どんな人なのかな、大野先輩の好きな人って…
そんなこと考えながら、再びキャンパスに目を向ける真剣な眼差しから目を逸らした。
*
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作者名:うさこ | 作成日時:2015年12月15日 19時