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由美にあんな大きいこと言っといて、本当はずっと気になってた。
やっぱり1年が3年のクラスに行くのは難しい。
だから時間割調べて、移動教室の時はさりげなく見に行ったり、体育の時間にグラウンドを見てはため息をついてた。
会えるのは、週に2回の火金の昼休み。
この日が楽しみでしょうがなかった。
ただただ純粋に、二宮先輩とふたりでいられる時間が大好きだった。
…だけど同時に、毎日二宮先輩と話せる由美のことがたまらなく羨ましかった。
朝正門で待ちぶせして、少しでも話せばいいって思ったこともあったけど、
やっぱり二宮先輩が他の誰かと話してるのを見ると、それだけで嫌だった。
苦しかった。
…でも一番イヤなのは、そんな自分の醜い感情。
全く知らない誰かなら、“あの人なに!?”っていえるけど、相手は由美。
しかも、痴漢から守ってもらってる状況で、なにも言えない。
そんなの、ただの心の狭い人間じゃん…
そう思われたくない、
心の広い人間だと思われたい、
…本当はそんなんじゃないくせに、気持ちばかりが大人になろうとして焦って…
だから、ごめんなんて言ってもらえる立場じゃないんだよ。
本当は二宮先輩と一番仲がいい女子は、あたしでありたい。
由美じゃなくて、あたしがいい…
由美を隣にそんなこと考えていたときだった。
由美「A、携帯鳴ってない?」
A「まじで?」
ごそごそとスカートのポケットからスマホを取り出すと、ランプが光ってる。
メール画面を開くと、“二宮和也”。
由美「あ、二宮先輩じゃん」
隣から嬉しそうな声がする。
“デートの話じゃない?”って由美がニヤニヤこっちをみた。
…自分でびっくりする。
今さっきまであたし、凹んでたよね?
嫉妬とかして、自己嫌悪に陥ってたよね?
なに考えてても、二宮先輩からのメールが来るだけで、こんなに幸せな気持ちになるなんて…
A「…ゲーセンいこっかって…」
…そっか、大野先輩が言ったんだ。
…ふたりの会話に、あたしとか、出てくるんだ、
なんか、嬉しい…
"よかったね"って由美が嬉しそうにあたしの顔を覗き込んだ。
次の日の朝、教室で喋ってると由美がバタバタと走ってあたしの目の前までやってきた。
…なんかこの光景、最近あったような…
由美「A!」
A「なにー?」
由美「二宮先輩!!」
A「え?」
*
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作者名:うさこ | 作成日時:2015年12月15日 19時