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由美「あ、二宮先輩来たよ!」
由美の目線の先を捉えると、そこには二宮先輩。
…と、後ろから大野先輩…
『モデルやってくんない?』
あの言葉が頭をよぎる。
…モデルか…
由美をちらっと見ると、嬉しそうに先輩二人に手を振ってる。
…なんか、この前までと立場が逆転してる?
和「ごめんね、待った?」
由美「いえ、今来たところです」
やっぱり二宮先輩は由美に話し掛けた。
…だめだ、ヘコむ…
和「…Aちゃん?」
顔を上げると目の前には二宮先輩がいて、あたしの顔をのぞいてた。
A「、はい、」
和「体調悪い?」
A「え?いや、」
和「この前の金曜日も来なかったから、どうかしたのかと思った」
二宮先輩は優しかった。
心配してくれるの…?
あたしが行かなかったら、気にしてくれるの…?
その瞬間、二宮先輩の向こう側に見えた由美と大野先輩が話してる姿。
楽しそうに、嬉しそうに大野先輩と話す由美。
…そっか、楽しそうにしてれば、相手も笑ってくれるんだ。
嫌な顔してれば、相手が笑ってくれる訳なかったんだ…
A「…すいません、日直の仕事が終わらなくて…」
和「なーんだ、何かあったのかと思ったじゃん(笑)」
A「、ごめんなさい」
軽く頭を下げると、“いいよいいよ”って腕を捕まれた。
…どうしよう、なにがあったって、こんなことひとつであたしの心臓は動きを早くする。
…好きだって実感する…
和「アドレス交換したんだから、来ないときは連絡して」
“気になるから”って…
…気にしてくれるの、あたしのこと…
…やっぱり嬉しい。
それだけで嬉しい。
二宮先輩の心の中に、あたしがかけらでもいたら、
もう嬉しい…
*
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作者名:うさこ | 作成日時:2015年12月15日 19時