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私もそそくさとレジに並んでお会計する。
「400円になります」
その言葉と同時にお金を出す。
…私が買ったものを、大野先輩が持って帰るんだ…
心臓がバクバクいって仕方がない。
別に特別なことじゃないのに、それが特別に思える。
…恐るべし、大野先輩マジック…
由美「、これ、」
美術館を出てポストカードの入った袋を渡す。
智「ん、」
一瞬だった。
一瞬だったけど、大野先輩の指が、私の指に触れた…
手を引っ込めそうになるのをどうにか抑えて、大野先輩の手にそれが納まるのを見送る。
止めてた息をふーっと吐き出すと、目の前に出された小さな細長い紙の袋。
由美「…え？」
智「これ、あげる」
由美「え、だって、…」
智「今日のお礼」
それはきっと、さっき私が持ってたボールペン。
大野先輩のマグカップとお揃いの、あのボールペン…
由美「…ありがとうございます…」
智「こっちがね(笑)」
…どうしよう、幸せすぎる、
先輩に買ってもらったボールペン…
手にぎゅっと握り締めると、くしゃくしゃになってしまうその袋。
でも、それを見つめるだけで胸がいっぱいになる。
智「…じゃあ行こっか」
由美「、え？」
智「街の方、行ってみよ」
せっかく出てきたんだから、って手招きしてる。
…これで終わりじゃないの…？
まだ一緒にいられるの…？
そう思ったら、今までの寂しさなんて一瞬で消えていく。
私は単純だ、
こんなにも大野先輩で一喜一憂できるんだから。
「…はいっ！」
その後ろ姿に、駆け寄った。
ニノとの約束通り、あのラーメン屋の駅までやってきた。
ここは結構栄えてるから店はいろいろあるけど…どこに入ろう…
由美「お茶でもしますか？」
智「んー、」
…なにすりゃいいんだ？女の子とふたり。
俺ひとりならテキトーにぶらぶらできるけど…
由美「あ、ここのパンケーキおいしいですよ」
智「え、」
…パン…ケーキ…
これってあれだよね、店内は女性まみれの…
智「、もう4時半だし、ご飯食べれなくなるよ」
由美「…、え…」
あ、そっか、由美ちゃんに飯食おうって言ってなかった、
智「この前行ったラーメン屋、行かない？」
由美「、ラーメン屋さん、ですか？」
由美ちゃんは一瞬固まると、笑顔ではい、と、言ってくれる。
…でもそっか、普通デートでラーメン屋ってないよな…
*
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作者名：うさこ
| 作成日時：2015年12月15日 19時
