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A「きゃー!先輩すごい!」
二宮先輩は自分で言うだけあってうまかった。
ストライクやスペアが出たときに求められるハイタッチに、おずおずと両手を差し出すその行動も、一つ一つがすごすぎて、
あたしは今日でどれだけレベルが上がったんだろうって怖いくらいだった。
…にしてもあたしは下手。
1ゲーム目、48。
そして2ゲーム目は二宮先輩のアドバイスのおかげで85。
和「うーん、リリースんときに手が曲がってんだよな」
A「え?」
和「まっすぐだよ、まっすぐ」
そう言ってあたしの手に触れた。
A「!…、」
一瞬で動けなくなる。
二宮先輩に触れたのって今日が初めてなのに、そんな日にこれ何回目?
しかもすごい、
……近、い…
二宮先輩にドキドキしすぎてアドバイスはあまり耳に入ってこなかったけど、
とにかく『真っ直ぐ』ってことばを思い出して投げてみると、4、5本倒れるか、あるいはガーターしか出なかった私の投球がみるみるうちに変わった。
A「…、っきゃー!おしいっ!9本!」
和「すげぇじゃん(笑)超上達してる」
A「先輩のご指導のおかげです(笑)」
…やっぱり、いつもより楽しい。
先輩がすごく近くにいるように感じる。
和「…あ、そういえば、夜ラーメン行く?」
A「え?」
和「この前4人で行ったとこ、ここから近いじゃん?また食べたいなーて思ってて」
A「いいですね、行きます!」
…あたし、こんな幸せでいいのかな。
夜ご飯、一緒に食べてくれるつもりでいたんだ…
二宮先輩の横顔は、やっぱり楽しそう。
…好き、
本当に好き、
大好き、
他の人なんて全然目に入らない。
A「……すき…」
和「次、Aちゃんだよ!」
A「、あ、はい!」
…危ない、
口から勝手に出てた…、
…胸から溢れ出る…
…あぁ、どうしようもなく好きすぎる…
*
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作者名:うさこ | 作成日時:2015年12月15日 19時