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「あんがと！」
さっちゃんの声がいやに大きく聞こえてハッとして。
ボールを指さして、ナミさんに取れって仕草。
ナミさんに笑顔が戻ってほっとしたところに、草むらがガサガサ音を立てたと思ったら、オーナーさんが顔を出した。
「楽しんでるさー」
「、はい、」
「海に入らないさー？」
「……2人の方がいいかなって」
「ははは」
それだけ言って隣に腰を下ろした。
会話も何もない空間。
昨日会ったばかりのオーナーさんだけど、この広い海を目の前にしてるからなのか、この沖縄独特の空気を感じてるからなのか…
全然苦にならない。
なにか話さなきゃ、とも思わせないこの感じ……東京じゃこんなことない。
気持ちが落ち着く。
「ナミはさー、3人姉弟の一番上だからさー」
「え、」
「甘えられる人がいないさー」
「……」
「にーふぁいゆー」
「へ？」
「…ありがとうさー」
潮風が頬をかすめ、髪がフワッと浮いた。
オーナーさんの横顔を見てみると、嬉しそうにふたりを見つめてる。
……そうだよね、小さい頃からずっと見てきたんだもん、ナミさんのこと分かってるし、自分の子供みたいに思ってるのかもしれない。
「…ナミさん、小さい頃どんな子だったんですか」
私の言葉にオーナーさんの目尻のシワがさらにくしゃっと崩れた。
ナミさんが初めて来た時はまだ二人姉弟だったとか、木登りして足を切ったとか、シュガーロードに自転車で突っ込んだとか、マンタと隣で泳いだとか……
まるで自分の子供の話をするみたいに。
……きっとさっちゃんも、笑顔のナミさんを見ていたはずだ。
だから"あんなやつじゃない"って断言できたんだ。
ここで家族といるナミさんを。
幸せいっぱいだったナミさんを…
切ないな。
両親が離婚とか……ちょっと私には想像がつかない。
「……」
少し泣きたくなった。
ナミさんのことを思うと…っていうより、自分が情けなくて。
本当に、なんて自分勝手だったんだろう。
私に待ってるのはさっちゃんとの未来で。
それなのにどれだけ欲張りになっていたんだろう。
ただの一日なのに。
これからの私だってさっちゃんといつまで居られるかはわからないけど。
それでも今は幸せだもの。
「……」
海に向けた視線の先のふたりが、ビーチボールを投げあって遊んでる。
恋人…というより、兄妹みたいな。
……もしかしたらナミさんにはそういう存在なのかもしれない。
本当のとこはわからないけど、気の許せるお兄ちゃんのような存在なのかもしれない。
*
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やっち(プロフ) - うさこさん、こんにちは。どの作品もとても良かったです。また作って欲しいです (2022年11月26日 7時) (
レス) @page47 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 完結お疲れ様でした！優しさの塊な智くんにメロメロになったりエロエロの智くんにキュンキュンしたり〜とっても楽しかったです。 (2019年6月24日 12時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - はるさん» はるさん、こんにちは！ほんと、私もさっちゃんと入れ替わりたい(笑)そしたらもれなくじっくり観察ますけど(≧∀≦)最後までおつき合いいただいて、ありがとうございました！ (2019年6月21日 13時) (レス) id: b1c7827c1a (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - ていくさん» ていくさん、コメントありがとうございます！毎回楽しみにしていただいてたなんて…嬉しいです☆他のお話でも機会があればよろしくです(^^) (2019年6月21日 13時) (レス) id: b1c7827c1a (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - うさこさん、おはようございます。とっても楽しかったです！さとちゃん格好良かったなぁ、私も入れ替わりたい←無理(^w^)結局二人が幸せで良かったです！ (2019年6月21日 9時) (レス) id: 4dabf2263b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うさこ
| 作成日時：2019年4月12日 20時
