42.刺視能力抜群 ページ42
「……風邪?」
「はい。熱があるみたいなので、今日1日は寝かせておいたほうがいいかと」
「あの総悟がか」
「あの沖田さんが、です。」
湿気のせいでうまく煙草に火がつかない土方さんに、苦笑を見せる。
屯所の外からは雨の音がしきりに響いている。
「…なんつーか、昔のことを思い出すよなァ」
「昔のことですか?」
「嗚呼。お前と総悟がこんくらいのときのことだ」
こんくらい、と右手の親指と人差し指の間の距離を示されるものだから、「そんくらいのときは土方さんと出会ってませんよ」と笑う。
「あん時もこんな天気だっただろ」
「あの時……」
「雨降ってて、こんな中じゃ稽古も出来ねェってことで、気晴らしに道場で遊ぶかって近藤さんが言い出して」
「ああ……」
「そしたら急にお前が、『総くん、熱あるんじゃない?』って……そういやお前、いつからかあいつのこと、総くんって呼ばなくなったな」
「そんなことも、ありましたね」
よく覚えてるなあ、と思わず笑ってしまう。
「沖田さんがいつもと違うときは、何でかすぐ分かるんですよね……昔から。」
「逆に総悟はお前がいつもと違うときはすぐ気づくけどな。」
「ですね」
この夏に熱が出た時もそうだった。
まあ、あの時は土方さんもすぐに気づいてくれたけれど。
「ほんと、いいお兄ちゃんですよね」
「……A、」
和やかな会話から、急に土方さんが声を潜めた。
「……お前、何かあったのか」
「はい?」
話の流れが唐突すぎて、ぽかんとしてしまう。
ゆらゆらと
「『いいお兄ちゃん』、って、誰のこと指してる?」
(……土方さんは、)
(どうして変なところ、鋭いのかなあ)
「何言ってるんですか。近藤さんや、土方さん、終兄さん、」
「……。」
「……沖田さんや山崎さん、真選組の人たちに決まってるじゃないですか」
低気圧のせいで、頭が少し重い。
土方さんの刺すような視線が痛い。
「総悟に何かされたか」
「そんなに私、変ですか?」
『何も無いですよ。』、と続けると、土方さんは苦い顔をした。
43.変化を恐れても人は成長することを辞めない→←41.俺じゃないから、私じゃないから。
472人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
乙愛 - 草間さんのセリフにグッときたがワイは負けん…はっ!総悟!違う私は一筋じゃぁ (2018年12月19日 18時) (レス) id: 89a184ea87 (このIDを非表示/違反報告)
木ノ嶋(プロフ) - 乙愛さん» コメントありがとうございます。良い意味でキュッとして頂けたら幸いです。物語が徐々に動き始めてきましたので、どうか今後も見守ってくれたら嬉しいです。 (2018年12月10日 22時) (レス) id: 24579aa2d7 (このIDを非表示/違反報告)
乙愛 - なんか、心臓キュッってなりました。( ・∇・)きゅーん (2018年12月7日 22時) (レス) id: 89a184ea87 (このIDを非表示/違反報告)
木ノ嶋(プロフ) - アルハさん» 本当に嬉しいお言葉、ありがとうございます。受験生なんですね…この作品で、少しでもアルハ様の応援が出来たらいいなと思っております。ありがとうございました。 (2018年11月28日 7時) (レス) id: 24579aa2d7 (このIDを非表示/違反報告)
アルハ(プロフ) - 受験生の身でありながらついぶっ通しで読んでしまいました・・・笑上から下までタイプですありがとうございます。これからも応援してます! (2018年11月27日 16時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2018年8月17日 23時