43.変化を恐れても人は成長することを辞めない ページ43
「変わるのが怖いって、そんなに駄目なことですかね」
「どーしたの急に。」
いつものファミレス、いつもの席。いつもの相手。
目の前に置かれているのは、チョコパフェとチーズケーキ。どっちがどっちのだなんて、わざわざ言わなくても明白。
フォークで1口サイズに切って、ケーキを口に運ぶ。
「時間を止めたままにしたくなるのは、悪いことなんですかね」
「……それが、昨日の俺との約束をすっぽかした原因か?」
「すっぽかしただなんて、人聞きの悪い」
「違ェねェだろ、ありゃドタキャンだドタキャン。」
銀さんはスプーンを咥えたまま、やれやれとでも言いたげに肩をすくめる。
からん、とお冷に浮く氷が音をたてた。
「まァ天気も悪かったから、銀さんのこの天パがわたあめみてェなことになってたし?だから逆に顔を合わせなくて良かったっつーか?」
「逆に見たかったですね、それ」
ず、とアイスティーを吸い込む。
「俺は、変わらねェもんも変わっちまうもんも、何も悪くねェと思うけど」
「……銀さんみたいな考え方の人で、地球が埋め尽くされてるわけじゃないですからね」
「何、深刻な悩み?前にも言ったけどよォ、俺に相談されてもまともな答えは出てこねェぞ」
私の腕の横に置かれているのは、大きめの封筒。
それが、昨日の銀さんとの約束。
「とか言いつつ、銀さんは良いこと言ってくれますからね」
「ちゃっかりハードル上げるのやめてくれる…?」
雨を降らせた曇天から一転、今日は爽やかな風が吹いている。
快晴とは言い難いが、心地よいのは確かだ。
「…昔、言われたんです。『変わるのが怖いのか?』って」
「ふーん。誰に、って訊いて俺がわかる奴?」
「わかる奴です」
「わかった、彼奴だ、瞳孔開ききったマヨラー」
「どんな言い方ですか。……まあ正解ですけど。逆に、土方さんくらいしかいませんしね、そんなこと言うの。」
ちらりと目を向ければ、銀さんのチョコパフェは既に食べ終えられている。
「『変わるのが怖いのか』。未だに私はこの言葉に縛られている気がします」
「実際、怖ェのか?」
「怖いですよ。物凄く怖い」
「へェ」
「私は変化を恐れているのに、地球が回るせいで全て変化していく。…昨日、久しぶりに沖田さんの裸を見ました」
「いや突然どんなカミングアウト?」
「ちゃんと大人になってて、昔のままの"総くん"じゃないんだなって」
「彼奴のこと総くんって呼んでたの?お前」
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乙愛 - 草間さんのセリフにグッときたがワイは負けん…はっ!総悟!違う私は一筋じゃぁ (2018年12月19日 18時) (レス) id: 89a184ea87 (このIDを非表示/違反報告)
木ノ嶋(プロフ) - 乙愛さん» コメントありがとうございます。良い意味でキュッとして頂けたら幸いです。物語が徐々に動き始めてきましたので、どうか今後も見守ってくれたら嬉しいです。 (2018年12月10日 22時) (レス) id: 24579aa2d7 (このIDを非表示/違反報告)
乙愛 - なんか、心臓キュッってなりました。( ・∇・)きゅーん (2018年12月7日 22時) (レス) id: 89a184ea87 (このIDを非表示/違反報告)
木ノ嶋(プロフ) - アルハさん» 本当に嬉しいお言葉、ありがとうございます。受験生なんですね…この作品で、少しでもアルハ様の応援が出来たらいいなと思っております。ありがとうございました。 (2018年11月28日 7時) (レス) id: 24579aa2d7 (このIDを非表示/違反報告)
アルハ(プロフ) - 受験生の身でありながらついぶっ通しで読んでしまいました・・・笑上から下までタイプですありがとうございます。これからも応援してます! (2018年11月27日 16時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2018年8月17日 23時