36.目線を変えれば悲恋 ページ36
「こういう、前に放送してたドラマって最新じゃないせいで話題性が薄いから、街で最新話のネタバレを聞かずに済むのが良いですよね」
「そうだなァ。最近の若者はみんなすぐ今のドラマのことを話題にするから……歩いてるだけで耳に入ってくるから困ったもんだ」
最近のドラマは一切見ないから、実質問題はないけれど、もしこれが本当に自分が見ているドラマで起こっていたら、耳も塞ぎたくなってしまうだろう。
深刻そうな表情を浮かべるヒロインが画面に映し出され、最終回が始まった。
────内容は、至って王道な恋愛ものだった。
身分違いの、男とヒロインが出会う。
2人は話しているうちに徐々に惹かれていく。
けれど身分違いの恋に障害は付き物で、親の圧力や世間の目、男側の人間から手を回されていたりして、2人の間には亀裂が入ってしまう。
それでもヒロインは男のことが好きで、諦められなかった。
そのせいで、ヒロインは何度も涙することになる。
そんなヒロインを見た、ヒロインの幼なじみは彼女を抱きしめながら言う。
『あんな奴辞めて、俺にしとけよ』
『俺だったら絶対、お前のこと泣かせたりしないのに』
この幼なじみの視点に立った話も展開されていたのだが、これがまた切ない。
幼い頃からずっと一緒にいて、一途に思い続けてきたのに、横から出てきた男に好きな女の子を取られてしまう気持ち。
自分は女ながらも、あまりの切なさに胸がきゅううっと苦しくなった。
しかし健気な幼なじみの気持ちは報われることなく、やはりヒロインは彼のことが好きだと改めて気づく。
たとえ身分が違ったって、自分が彼を好きな気持ちに嘘はない。これが何よりも正しく、何よりも大切だ。
男とヒロインは隠れてもう一度出会う。そして男は彼女に言う。
『駆け落ちしよう』
『今までのもの全て捨てたとしても、僕は君と一緒にいたい』
『絶対に幸せにする』
そうして彼は、彼女は、今まで培ってきたもの全てを捨て去って、強く手を繋ぐ。
その後、彼女らが何処で何をしているのかを知る者は誰もいなくなる。
きっと何処かで幸せに生きているのだろう、と語るのは、あの幼なじみだった。
「面白かったなあ。2人に亀裂が入ったときはどうなるかとヒヤヒヤしたもんだ」
満足感に溢れた顔の近藤さんに尋ねる。
「近藤さんは、身分違いの恋とか憧れたりするんですか?」
「身分違いも何も、俺はお妙さん一筋だからなあ!」
「そうでしたね」
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乙愛 - 草間さんのセリフにグッときたがワイは負けん…はっ!総悟!違う私は一筋じゃぁ (2018年12月19日 18時) (レス) id: 89a184ea87 (このIDを非表示/違反報告)
木ノ嶋(プロフ) - 乙愛さん» コメントありがとうございます。良い意味でキュッとして頂けたら幸いです。物語が徐々に動き始めてきましたので、どうか今後も見守ってくれたら嬉しいです。 (2018年12月10日 22時) (レス) id: 24579aa2d7 (このIDを非表示/違反報告)
乙愛 - なんか、心臓キュッってなりました。( ・∇・)きゅーん (2018年12月7日 22時) (レス) id: 89a184ea87 (このIDを非表示/違反報告)
木ノ嶋(プロフ) - アルハさん» 本当に嬉しいお言葉、ありがとうございます。受験生なんですね…この作品で、少しでもアルハ様の応援が出来たらいいなと思っております。ありがとうございました。 (2018年11月28日 7時) (レス) id: 24579aa2d7 (このIDを非表示/違反報告)
アルハ(プロフ) - 受験生の身でありながらついぶっ通しで読んでしまいました・・・笑上から下までタイプですありがとうございます。これからも応援してます! (2018年11月27日 16時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2018年8月17日 23時