14.お巡りさん発動 ページ14
どうしたもんか、と思った。
理由は単純明白、この江戸の治安を守るお巡りさんが、あまりにびっくり非番のタイミングで銀行強盗に出くわしてしまったからである。
そんなことってあるの?ないでしょ、普通。
多分、というかほぼ確実に土方さんは私がこの場にいないことに気づいているだろうし、沖田さんが答え合わせもしてくれているだろう。
(────さて、どうしたもんか)
冒頭のモノローグに戻る。
周囲は真選組が囲んでいると、先程気の抜けた沖田さんのスピーチが響いていた。
後ろ手を縛られる際、ちょっとした小細工を仕掛けていたおかげで拘束は今すぐにでも外すことが出来るけれど、問題はその後だ。
どう動くのが正解?何が最優先?
(……というか気づいちゃったけど、私って真選組の唯一の女隊士なんだよなあ。顔、割れてなきゃいいけど。)
「おいテメェ!何しようとしてる!」
「ひっ!」
頭上で怒鳴り声がして、早速バレたのかと身構えたがその矛先は私ではなく、お隣さんだった。
「外に連絡しようとしてやがった!」
お隣さんがこそこそ触ろうとしていた携帯電話(?)が取り上げられる。
びくびくと震えるお隣さんを、強盗犯のひとりが蹴りあげた。
鈍い音の直後に、他の人質から悲鳴が上がる。
「余計なマネしてんじゃねえよ!」
怒号を言い終わるか否か、その男が急にふっと降下し、床に叩きつけられる。
その音で、カウンター周辺にいた犯人たちが一斉にこちらを向く。驚いただろうな、私という女性が
「なんだテメエ!!」
「市民に手を出すことは許されません」
さっき起こった出来事は単純明快。ただ私が男の足を蹴り払っただけ。
だから男はバランスを崩したし、その間に私は立ち上がったし、床に叩きつけられる男の胸部を踏みつけることだって出来ている。
女の力なんて大したことないから、いつまで持つかは分からないけれど。
「お前!!!真選組の女隊士だな!!」
犯人のうちのひとりが叫ぶ。
あちゃあ、バレたか。
足元で呻いている男の鳩尾に踵を落とし込むと、カエルが潰れたような音と共に身体が弛緩する。あと4人。
スタンガンを持った男が走ってくる。もう後ろ手を固定するふりをしている必要がなくなったから、自由になった両手で正面の男の腕を掴み、勢いに任せて背負い投げる。刹那に股間を力いっぱい踏みつけ、あと3人。
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乙愛 - 草間さんのセリフにグッときたがワイは負けん…はっ!総悟!違う私は一筋じゃぁ (2018年12月19日 18時) (レス) id: 89a184ea87 (このIDを非表示/違反報告)
木ノ嶋(プロフ) - 乙愛さん» コメントありがとうございます。良い意味でキュッとして頂けたら幸いです。物語が徐々に動き始めてきましたので、どうか今後も見守ってくれたら嬉しいです。 (2018年12月10日 22時) (レス) id: 24579aa2d7 (このIDを非表示/違反報告)
乙愛 - なんか、心臓キュッってなりました。( ・∇・)きゅーん (2018年12月7日 22時) (レス) id: 89a184ea87 (このIDを非表示/違反報告)
木ノ嶋(プロフ) - アルハさん» 本当に嬉しいお言葉、ありがとうございます。受験生なんですね…この作品で、少しでもアルハ様の応援が出来たらいいなと思っております。ありがとうございました。 (2018年11月28日 7時) (レス) id: 24579aa2d7 (このIDを非表示/違反報告)
アルハ(プロフ) - 受験生の身でありながらついぶっ通しで読んでしまいました・・・笑上から下までタイプですありがとうございます。これからも応援してます! (2018年11月27日 16時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2018年8月17日 23時