13.簡単すぎるクエスチョン ページ13
不快な警戒音が鳴り響くと共に、人々の悲鳴がこだまする。見回せば5人程度の男たちが、銀行の中に偶然にも居合わせてしまった人たちを取り囲んでいる。
「さっさと金を用意しろ!じゃねェとこいつら殺すぞ!!」
物騒な言葉を並び立て、銀行職員に叫ぶ。その間にも不運な客たちは1箇所にまとめられ、後ろ手を縛られていく。
銀行強盗だった。
人質をとるという立てこもり犯。
シャッターを乱暴に閉められ、外からは遮断されている。とうに通報は済んでおり、事件となった銀行付近には真選組が取り囲んでいた。
「……どーすっかね」
土方はメガホン片手にため息をついた。銀行強盗。人質をとられているため下手に手は出せない。
「あー、あー、オーイてめェらー、さっさと出てきなせェー、此処ら一体はもう真選組に包囲されてらァー」
土方の隣からやる気のなさそうな沖田の声がメガホン越しに響く。説得力のない演説をしたところで立てこもり犯が出てくるはずもない。
ふと、いつもなら見える姿が此処にはないことに気づいた土方は沖田に目を向ける。
「そういや、Aはどうした?此処にはいねェみてェだが……」
「何処にいると思いやす?」
「はァ?」
それがわからないから聞いているのだ、と言いたげな土方の視線をさらりと受け流す。素直に答える気のない沖田に再度ため息を漏らし、考える。
この銀行の主な出入口は此処ひとつだ。
職員用の出入口があるが、そこは別の隊を配置させている。1番隊副隊長のAが、別の隊の配置につくとは考え難い。
しかしこうして真選組が出動しているにも関わらず彼奴が駆けつけていないのはおかしい。
「……彼奴は今日非番か」
「そーですぜ」
「……。」
土方がこめかみを押さえ、3度目のため息をついたところで沖田はにやりと笑った。
「ご名答でさァ、土方さん。」
────『Aはあそこにいやす』。
そう沖田が顎で示したのは、他でもない目の前の銀行だった。
472人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
乙愛 - 草間さんのセリフにグッときたがワイは負けん…はっ!総悟!違う私は一筋じゃぁ (2018年12月19日 18時) (レス) id: 89a184ea87 (このIDを非表示/違反報告)
木ノ嶋(プロフ) - 乙愛さん» コメントありがとうございます。良い意味でキュッとして頂けたら幸いです。物語が徐々に動き始めてきましたので、どうか今後も見守ってくれたら嬉しいです。 (2018年12月10日 22時) (レス) id: 24579aa2d7 (このIDを非表示/違反報告)
乙愛 - なんか、心臓キュッってなりました。( ・∇・)きゅーん (2018年12月7日 22時) (レス) id: 89a184ea87 (このIDを非表示/違反報告)
木ノ嶋(プロフ) - アルハさん» 本当に嬉しいお言葉、ありがとうございます。受験生なんですね…この作品で、少しでもアルハ様の応援が出来たらいいなと思っております。ありがとうございました。 (2018年11月28日 7時) (レス) id: 24579aa2d7 (このIDを非表示/違反報告)
アルハ(プロフ) - 受験生の身でありながらついぶっ通しで読んでしまいました・・・笑上から下までタイプですありがとうございます。これからも応援してます! (2018年11月27日 16時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2018年8月17日 23時