93.難解トリックの種明かし ページ43
「わたしですか?彼氏いますよ!」
「……はい?」
「彼氏っていうか、もう旦那になったんですけど」
「…………はい?」
黄川さんの件を、沖田さんに訊くよりも直接本人に訊きに行った方が早いと思って、訪れた団子屋。
変に緊張しつつ、それとなく沖田さんとの関係を聞き出そうと思ったのだけれど。
なんの前触れもなく返ってきたのが、冒頭のそれである。
「指輪も貰ったんですよ、ほら」
なんて、屈託のない笑顔と共に左手の薬指を見せられる。そこには煌めくひとつの指輪が。
「……え、あの、」
「わかってますよAさん。沖田総悟さんと上手くいったんですね。おめでとうございます」
「ちょ、ちょ……」
勝手に話が進められて、何がなんやら。
困惑する私を置いて、「これはわたしからの奢りです!」とみたらし団子を押し付けられた。
「答え合わせをしましょう」
すとん、と私の隣に腰掛ける黄川さん。
「まず、わたしの年齢からですが」
「ね、年齢……?」
「わたしは23歳です」
「年上!?」
「で、私の元彼氏…現旦那は、市役所に勤める人なんです」
「へ、ええ……」
「Aさんの前でこんなこと言うのもどうかと思うんですが、元々沖田総悟さんに一切興味ありませんから、わたし。」
「一切……」
「じゃああの時のあれは?なんて思ってますね?」
機関銃のようにズバズバと話を進められて、ただ曖昧に相槌を打つことしかできない。
それに加えて図星まで突かれて、一体どう反応するのが正解なのか。
「Aさんが気にかけてるのは、"沖田総悟さん、話せば話すほど素敵な人です事件"の話でしょう?」
いや当たってるけれども。
何その事件名。
「わたし実はすこーしだけ演劇をかじってまして。あれは演技なんですよ」
「……演技ぃ?」
「そもそもわたし、沖田総悟さんと出会う前から彼氏……旦那と付き合ってましたから。ぞっこんですし、わたし。」
「なんで、演技なんか」
「Aさんを
「なんで、」
「まずですね、わたし、黄川杏奈は、沖田総悟さんから恋愛相談を持ちかけられてたんです」
「……沖田さん、が、」
「わたしにはぞっこんな彼氏がいましたし、沖田総悟さんはこの団子屋の常連ですし、丁度良かったんですね、きっと!」
「丁度いい……」
「沖田総悟さんはずっとAさんのことが好きだと。」
そんなことが、あったのか。
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乙愛 - 吉沢亮さん、良すぎですよね……。ほんと、沖田さん…。現在1番好きな役者さんです。 (2019年2月11日 10時) (レス) id: 6dafc5383a (このIDを非表示/違反報告)
乙愛 - お疲れ様でした!最後の写真みてみたいです…/// (2019年2月11日 10時) (レス) id: 6dafc5383a (このIDを非表示/違反報告)
ののこ(プロフ) - 毎回更新を楽しみにしていました。終わってしまって寂しさもありますが、素敵な小説に出会えて良かったです。ありがとうございました! (2019年2月10日 1時) (レス) id: c2027c837f (このIDを非表示/違反報告)
sachoco(プロフ) - とても素敵な作品に出会えて幸せでした。ハッピーエンドでとても嬉しかったですし、完結した寂しさの反動も大きく、それ程この小説にハマっていたのだと思います。本当にお疲れ様でした!(実写版沖田さん…本当に完璧と言わざるを得ない程素敵だと私も思いました!) (2019年2月8日 19時) (レス) id: 6ffe0b9ea7 (このIDを非表示/違反報告)
春先未(プロフ) - お疲れ様でした…本当に面白く更新を楽しみにしていた作品だったので終わってしまい寂しさ半分、素敵な作品と出会えたという幸せな気持ち半分です。とても素敵な作品をありがとうございましたm(_ _)m (2019年2月8日 18時) (レス) id: 948ea5509c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2018年12月14日 8時