89.ようやく時間が前に進む ページ39
「……まァ、なんだ」
がしがし、ときまりが悪そうに、土方さんは乱暴に頭を掻いて、それから私の方を見て、小さく笑った。
「………よかったな」
たった一言に、土方さんの込める気持ちを全て感じて、自然と顔が綻んだ。
────それから後、あの男たちに金を渡して実行させたという、直々の犯人が逮捕された。
犯人は草間さんが契約を打ち切った会社の社長だったようで、まあわかり切った犯人ではあったことは確かだ。
私と言えば、治療と検査も含めて数日ほど入院することになった。
その間、沖田さんは私の病室に入り浸っていたし、時折土方さんや近藤さんもお見舞いに来てくれた。
派手に血は出たものの、そこまで深い傷はなかったのが奇跡だった。
ふと、私の携帯がチカチカと光る。
メールでも来たのかと思って手に取ろうとすると、それより先に沖田さんに取られてしまった。
「ちょっと、沖田さん！」
勝手に開くわ、勝手に読むわ、それから読み終えたのか勝手に自分のポケットに仕舞うわで、結局誰からのメールなのか教えてくれやしない。
「返してくださいよ、携帯」
「病室なんだからそんなに騒いじゃ駄目だろ」
はーあ、とわざとらしくため息をつかれて、私がムッとしていると、なんの前触れもなくまるで日常茶飯事のように、奪うようにちゅ、とキスされた。
「飲みもん買ってくらァ。大人しく待ってな」
「…………、ずるい」
あまりにも突然のことに、こちとら反応すら出来なかった。
しゅううと頭から湯気が出そうな私を置いて、沖田さんは病室から出ていってしまう。
「……何だかなあ」
火照った顔を冷ますように、ぱたぱたと手で風を送っていると、控えめに病室の扉が開く音がした。
この開け方は沖田さんじゃないな、と思い、そちらに目を向ける。
「…あ、」
「……どうも、Aさん。その節は本当に、申し訳ございませんでした」
深く、頭を下げるのは、頭に包帯を巻いた草間さんだった。
「草間さんが悪い訳じゃないじゃないですか、頭上げてください」
慌ててベッドから下りて草間さんを制するも、一向に頭を上げてくれない。
「僕のせいで、貴女をこんな目に合わせてしまって。治療費は出しますし、慰謝料もお支払いします。それから今後一切、貴女の前には現れんので、」
「草間さん、頭上げてください」
無理やり顔を引っ掴んで、頭を上げさせる。
そこにあったのは、何とも情けない顔。
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乙愛 - 吉沢亮さん、良すぎですよね……。ほんと、沖田さん…。現在1番好きな役者さんです。 (2019年2月11日 10時) (
レス) id: 6dafc5383a (このIDを非表示/違反報告)
乙愛 - お疲れ様でした！最後の写真みてみたいです…/// (2019年2月11日 10時) (レス) id: 6dafc5383a (このIDを非表示/違反報告)
ののこ(プロフ) - 毎回更新を楽しみにしていました。終わってしまって寂しさもありますが、素敵な小説に出会えて良かったです。ありがとうございました！ (2019年2月10日 1時) (レス) id: c2027c837f (このIDを非表示/違反報告)
sachoco(プロフ) - とても素敵な作品に出会えて幸せでした。ハッピーエンドでとても嬉しかったですし、完結した寂しさの反動も大きく、それ程この小説にハマっていたのだと思います。本当にお疲れ様でした！(実写版沖田さん…本当に完璧と言わざるを得ない程素敵だと私も思いました！) (2019年2月8日 19時) (レス) id: 6ffe0b9ea7 (このIDを非表示/違反報告)
春先未(プロフ) - お疲れ様でした…本当に面白く更新を楽しみにしていた作品だったので終わってしまい寂しさ半分、素敵な作品と出会えたという幸せな気持ち半分です。とても素敵な作品をありがとうございましたm(_ _)m (2019年2月8日 18時) (レス) id: 948ea5509c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：木ノ嶋 | 作成日時：2018年12月14日 8時
