検索窓
今日:2 hit、昨日:7 hit、合計:179,779 hit

90.新しい関係のスタート ページ40

「…ごめんなさい、僕のせいで、本当にごめんなさい」



こんな顔は、今まで見たことがなかった。

カッコよくて、余裕があって、澄ました普段の姿からは、想像もできない。



「草間さんは悪くないです」

「僕のせいです。貴女にこんな…傷を、つけたのは、僕のせい」



今にも泣きそうな顔を、掌でぺちんと挟み込んだ。



「そんな顔しないでください。私は大丈夫ですから。」

「……、」



草間さんは強情な人だ、よく理解している。

だから、お互い譲らぬ言い合いをしていたところで、話が進まないのは目に見えている。



「……草間さんが、どうしても、自分のことを許せないのなら。だったら、交換条件です」

「…何ですか?」

「私と、お友達になってください。貴方は自分のせいで、私がこんな目に合ったと思っている。ならば私とお友達になることで、償ってください」

「……そんなの、」

「償いになってませんか?でも、草間さんはもとより私とお友達にはなりたくないと言いました。だからこれは、ちゃんと償いですよ」

「………、僕は、貴女に救われてばかりだ」

「救うだなんて大層なこと、私は思ってませんよ。草間さんのことが大好きだから、ただそれだけです」



俯く草間さんの瞳が潤んでいく。



「……僕は、僕を許せないから、貴女とお友達になることを誓います。それで貴女に償いが出来ると言うのならば、喜んで友達になりましょう」



頬を挟んでいた手に、草間さんの手が重ねられる。



「……けど、お友達になる前に、最後にひとつ、いいですか」

「どうぞ」

「…………本当に、貴女のことが、ひとりの女性として好きでした。出逢えて良かった。」

「…ありがとうございます。勿体ないくらいのお言葉です」

「どうかお幸せに、Aさん。」



力なく浮かべられた、最高級の笑顔に、頷いた。



「草間さんも、私なんかよりもっと素敵な人と、幸せになれますように、祈っています」



貴方は私に救われてばかりだと言うけれど、私だって、貴方に救われていた。

意地悪で、でも誠実な貴方は、本当に、良い男だ。

世界中の、他の誰よりも、幸せになって欲しい。

そう、心から思った。

91.何でも笑って話そう→←89.ようやく時間が前に進む



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (286 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
516人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 沖田総悟
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

乙愛 - 吉沢亮さん、良すぎですよね……。ほんと、沖田さん…。現在1番好きな役者さんです。 (2019年2月11日 10時) (レス) id: 6dafc5383a (このIDを非表示/違反報告)
乙愛 - お疲れ様でした!最後の写真みてみたいです…/// (2019年2月11日 10時) (レス) id: 6dafc5383a (このIDを非表示/違反報告)
ののこ(プロフ) - 毎回更新を楽しみにしていました。終わってしまって寂しさもありますが、素敵な小説に出会えて良かったです。ありがとうございました! (2019年2月10日 1時) (レス) id: c2027c837f (このIDを非表示/違反報告)
sachoco(プロフ) - とても素敵な作品に出会えて幸せでした。ハッピーエンドでとても嬉しかったですし、完結した寂しさの反動も大きく、それ程この小説にハマっていたのだと思います。本当にお疲れ様でした!(実写版沖田さん…本当に完璧と言わざるを得ない程素敵だと私も思いました!) (2019年2月8日 19時) (レス) id: 6ffe0b9ea7 (このIDを非表示/違反報告)
春先未(プロフ) - お疲れ様でした…本当に面白く更新を楽しみにしていた作品だったので終わってしまい寂しさ半分、素敵な作品と出会えたという幸せな気持ち半分です。とても素敵な作品をありがとうございましたm(_ _)m (2019年2月8日 18時) (レス) id: 948ea5509c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2018年12月14日 8時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。