65. その先の言葉を ページ21
さとみside
莉「あっ！」
Aに縋りつくように手を握っていた莉犬ところんが、弾かれたように顔を上げた。
.
こ「反応した！ぴくって！」
泣きすぎて枯れた声で騒ぐ2人。
な「まじ、で？」
る「Aちゃん！」
その言葉に、他のメンバーも彼女の手を握る。
.
さ「(頼む...目を覚ましてくれ！)」
俺も、Aの手を取って強く握る。
謝りたいことが、聞きたいことが、沢山あるんだ。
.
さ「！」
驚いて、握りしめている手を見る。
今、確かに。握り返された。
.
「……ん……」
ふわぁ、と呑気な声が静かな部屋に響く。
莉「Aちゃん！！！」
る「よかったぁぁ……」
俺たちは安心して、へなへなと床に座り込んだ。
.
「……あ、おはようございます」
さ「おは、よう」
綺麗な瞳が、俺を貫く。
その目線が、下に降ろされる。
さ「っ、ぁ…」
慌てて手を離す。
Aが、その手をゆっくりと自分の方に引き寄せる。
.
「……皆さんが助けてくださったんですか」
少しの逡巡の後、Aがゆっくりと言葉を発する。
でもその内容は、俺たちが思っていたのとだいぶ違って。
.
目を覚ました時、自分を散々馬鹿にした相手が居たらとりあえず引くか罵るだろう。
俺だって、罵られると覚悟していた。なのに。
な「いや、助けられたのは俺たちの方で...」
「私は、自分は死ぬ気で皆さんを逃がしました。けれど今、ここで生きている」
助けてくださったんですか。
もう一度、静かに声が発せられた。
.
な「……うん、一応は。でも、」
「ありがとうございます」
何か言いたげななーくんに、食い気味に礼を言う。
まるでその先を、言わせまいとするかのように。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 263人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ねころん。(プロフ) - ゆーさん» あらららら……とりあえずティッシュを……！！そしてもう一周読んできてください！(？)ありがとうございます！ (2022年11月18日 16時) (
レス) id: feedd75a93 (このIDを非表示/違反報告)
ねころん。(プロフ) - ネコ日和。さん» ありがとうございます！自分の作品で泣いていただけるとは……！笑 今の自分の文体に合わせて作品の修正なども行っているので、その過程で番外編も書くかもしれません！その時はぜひよろしくお願いします〜！ (2022年11月18日 16時) (レス) id: feedd75a93 (このIDを非表示/違反報告)
ねころん。(プロフ) - ろりぽっぷ。さん» ありがとうございます！気に入っていただけて嬉しいです！！事情により界隈から離れておりますが、またいつか書いた時にはまた読んでくださいね！ (2022年11月18日 16時) (レス) id: feedd75a93 (このIDを非表示/違反報告)
ゆー - いいお話、ﾋｯｸ、すぎて、ｸﾞｽﾞ、涙が、ｸﾞｽﾞ、出てきて、ｸﾞｽﾞ、止まら、ｸﾞｽﾞ、な、ｸﾞｽﾞ、いんですけど、ﾋｯｸ、どうしたらい、ﾋｯｸ、いです、ｸﾞｽﾞ、か？ (2022年11月9日 18時) (レス) @page38 id: 2307c0fefd (このIDを非表示/違反報告)
ネコ日和。 - 初コメです…！今もう涙で視界がぐわんぐわんしてます。主人公の生き様も、亡き親友の言葉も、全部刺さりました。番外編とかめちゃ見たいっす！！仲良くなった6人とか見たいです！！とっても楽しませてもらいました🤗 (2022年8月15日 21時) (レス) @page38 id: 18b130b5d8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
