＜完＞僕は使用人に恋をした【月山習】

４６食目 ページ47

月山side

月「……では、行ってくるよ」


松前「いってらっしゃいませ」


叶「お気をつけて」



結局、あれからなにか進展があるわけもなく





飛行機の時間が迫るばかり






しかも悲しいことに







見送りにAの姿がない






月「……はぁ」


ジュリア「習くん、行こ？」


月「あぁ…」




所詮こんなものか




使用人と、主というのは




僕は後ろ髪をガンガン引っ張られながら←






ジュリアの車に乗り込んだ




＊＊＊Aside＊＊＊

あ「……行っちゃったかな…」



時計を見ながら呟いた




見送りなんて、無理だよ



絶対泣くから





松前「……こんなところにいたの？」



あ「……松前」




振り向くと、松前が腕を組んで立っていた






松前「本当に、あなたって子は」



あ「…………私さ






好きだったかも知れない、習さまが」



松前「……」



あ「もう、遅いけどさ」



松前「遅いことなんてないわ」





松前は、私に近付いて




松前「間に合うはずよ」





優しく、微笑んだ




松前「行きなさい、まだ出発までに時間はあるから」




あ「っ…うん…!!」





まだ、間に合うのなら






行かなくては


＊＊＊叶side＊＊＊

叶「……習さま…」



かれこれ、見送りから10分は経過していた




しかし、名残惜しい






Aが見送りに来なかったのも気になる






戻ろう、そう思ったとき



あ「叶っ!!」


叶「……A？」



屋敷から、息を切らしたAが走ってきた



叶「どうしたんだ…習さまはとっくに…」


あ「行ってきます!!」


叶「どこに!?」


あ「空港!!」









自然と、腕が動いた






あ「……叶…？」






叶「……行くな」





あ「……」





叶「A、俺は…」




あ「叶っ」






ふと、Aが



俺のシャツの胸ポケットに、なにかを差し込んだ





叶「……!!」







オレンジの薔薇……






あ「ありがとう!!」






そう言って、太陽のような笑顔を見せると








また、走っていった






叶「……ったく」




オレンジ色の薔薇の花言葉



絆、信頼






叶「……好きだったけど、な」






……あれ？


アイツ

空港に行くとか言ってたけど……






叶「場所、分かってるか？」

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