【ダンガンロンパ】これが、私のやり方だから。 (ページ4)

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【Ａ】そう言われると、私も【終里赤音】《１》ページ4

もうすぐ目的地に着くらしい。
船内放送で、そのように聞こえた。
それを聞いた私は、軽く準備をすると船の厨房に向かうのだった。

この時のために発酵させておいた生地を取り出し、空気を抜きながら捏ねたものをいくつかに切り分け、ベーコンやチーズなどを包んだものを沢山作る。
そこまで進むともう一度発酵させる時間が必要になってくるので、その間の暇つぶしにと私は本を開いた。

「……」

今回の目的地と聞かされた島は、観光地として有名で、自然も多い所だと言われたのは覚えている。
自然、というワードに少し興味を持ちつつ、今回の目的を思い出す。
確か、仲良くなるために修学旅行を行う予定だった筈、と誰が聞く訳でも無く呟くと、開いた本を読み進めていった。

「……そういえば、修学旅行なんてうちの島には無かったわね」

読んでいる本と、修学旅行の内容。
その二つに想像を膨らませて、私は生地の発酵されるのを待った……。

＊

「……い、おい、……きろよ」

「んっ……？」

誰かに揺さぶられて目を覚ます。
どうやら本を読んでいる間に寝てしまったようだ。
時間が長かったからとはいえ厨房で寝るなんて……と思いながら顔を上げると、知らない女の子が此方を覗き込んでいた。

「あら、あなたは……？」

「なぁ！オメー、料理出来んのか？」

「えぇっ……？」

私が起きたことに気付くと、その子は私の手を引いて椅子から立たせた。
私が厨房に居たから、私を料理が出来る人だと思ったようだ。
そもそも、この子は誰なんだろう……？
この船のメンバーには居なかった気がする……と思ったが、私はあまり気にしていなかった。
話しているうちに誰だか分かるだろうし、一先ず訊かれたことは答えるとしよう。

「ああ……実はさっき作っていた途中でね、これから焼いていこうと思っていたの」

その途中で寝ちゃったんですけどね、と苦笑いで続けたが、この子にとって後半部分はあまり気にならなかったようだ。
それよりも、私の返答を聞いて嬉しそうに叫ぶ女の子のテンションの高さと来たら。

「ってことは、本当に作れんだな！
焼くってことは肉とかか？オレさっきから腹減っててよ……もし作り終わったら分けてほしーんだけど……」

「あらあら……」

涎を垂らしながら懇願する女の子の視線に耐えかねて、急ぎ目で生地を取り出し、油を塗った波型の鉄板で上下に挟んで焼き始めた。