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.his side ページ7

レオスside


缶コーヒーを開ける音だけが暗い中庭に響いた。

目の前に座るA君はペットボトルの紅茶を購入したらしい。
小さく音を立ててボトルを傾けている。

その姿はなんとも静かで、
たった3歳下の女性には見えなかった。



──咄嗟に声を掛けたが、良かったのだろうか。

今更悩み返しても、
目の前のA君の表情は読めない。



大分前、
アクシア君が彼女を連れて来た時のことを思い出す。

エデン出身の複数人のライバーで
デビューさせたいと運営から告げられた時、
アクシア君がじゃあ、と連れてきたのがA君だった。

その時に、すでに彼女以外の5人は顔を合わせていたのだが、
突如として6人目が現れた形になる。


今や彼女もすっかり馴染んだものだが、
その時は驚いたものだ。



しかし当時出会ったばかりの頃も今も、
彼女のその妙に度胸のある落ち着いた態度が記憶に焼き付いたままだ。

今でもその奇妙な印象がずっと続いている。



現在のA君は、
私の横でペットボトルを飲んでいた。

特段美味しそうでもなく、
不味そうでもない。



『配信機具とか、もう全部揃えました?』

「大方はまあ。
いやあ……緊張しますねぇ、まだ先ですけど」

『ね。緊張してきますよね』


ははは、と彼女は屈託の無い笑みを浮かべた。

灰色がかった髪が揺れて、
薄煙のように輝く。


『私、あの、ほら。話下手だから。
不安ばっかりですよ。

レオスさんみたいにしっかりしてませんしね〜』


そう言いつつも、彼女はあまり不安そうでなかった。
ペットボトルの包装を爪で弾いている。

考えこみすぎない、悩みすぎないのが彼女の美徳とも言えるのかもしれない。

かと言って、
それ程しっかりしているとも言えない。



だが、
それを、少し羨ましいと思う自分も居る。

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ロア(プロフ) - 初コメ失礼します。バルチェさんの底知れなさがとても好きです。更新を楽しみに待っています。最近暑いのでご自愛ください。 (7月23日 19時) (レス) id: 16ef5a014f (このIDを非表示/違反報告)
みゃー - 設定から何まですごく好きです!更新を楽しみに待っています。 (2022年2月13日 1時) (レス) id: 8ae8149b6f (このIDを非表示/違反報告)
エルち(プロフ) - 面白いです~!更新楽しみにしています (2022年1月31日 23時) (レス) @page22 id: 309f663f88 (このIDを非表示/違反報告)
popop(プロフ) - なだめさん» なだめさんありがとうございます。ゆっくりにはなりますが、更新がんばりますのでよろしくお願いします。 (2021年11月14日 1時) (レス) id: 0c64a999d8 (このIDを非表示/違反報告)
popop(プロフ) - ねむねむねーむさん» ねむねむねーむさん、ありがとうございます。更新滞っていてすみません……なかなか予定通りの進度で進まず苦戦していますが、今後ともよろしくお願います…… (2021年11月14日 1時) (レス) id: 0c64a999d8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:popop | 作成日時:2021年9月24日 3時

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