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あの日の喫茶店に、わたしは今でも通っている。
父との待ち合わせはいつもそこだったし、学校の友だちと放課後に立ち寄るのも、ボーイフレンドとのデートもおなじ店だった。
あの店の、新しくない街特有の人々のにおいと、日だまりを凝縮したような空気を吸いこんでいると、彼がひょっこりと現れるような気がした。
白いニットを着て、石のピアスを付けて・・・氷の浮いたコーヒーを頼んで。
わたしはきっとまた子どもらしくオレンジジュースを飲んでいて、彼が伝票を持ち上げて＿＿＿＿＿＿
あれから成長はしたつもりでも、わたしはまだコーヒーが飲めない。
無糖の紅茶でせいいっぱいだ。
誕生日だというのに、母はケーキを用意してくれなかった。
というより、間に合わなかった。
それでも、器用とはいえない母がわたしのためにそれを作ってくれようとしたことが、すなおにうれしかった。
いつものフルーツサンドに、ミックスジュース。
そしてチョコレートケーキ。
わざわざ友だちを呼び出すようなことはせず。
ひとりで訪れた喫茶店で、わたしはろうそくの立っていないケーキを黙々と食べる。
「代金のほうは結構です」
時刻は午後二時。
カウンターの向こうで微笑む店主は、わたしが差し出した伝票をふたつに折りたたみ、言った。
「もう頂いておりますので」
「・・・どういうことですか？」
「今日一番に来店された男性の方が申されたのです。正午過ぎに訪れる女性が、フルーツサンドとミックスジュース、それにチョコレートケーキを注文するからと」
わたしは店を飛び出した。
めかしこんで履いたミュールの足が、薄汚いビル街を進む。
息を切らしてたどりついたそこに・・・
数年前と変わらない彼の姿が、あった。
「A」
「っ・・・」
「また会ったな」
空々しく笑った彼はまたあの日のように、わたしをがんじがらめにする。
固まって動けないわたしの耳もとに、その美しい唇を近づけて。
「これがお前の出した答えってことで、ええの？」
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べに(プロフ) - ココナッツさん» うわあああああココナッツさん！ありがとうございますわたしも好きです(T T) (2018年3月14日 18時) (
レス) id: c68c31e30a (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - うわああああべにさんっ！うわああああ…(ワケわからなくてごめんなさい、汗)…好きですっ！ (2018年3月14日 15時) (レス) id: d0c3580366 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：べに
| 作成日時：2018年3月13日 0時
