ｷﾄﾞ/ 溺れる ページ11
ツユクサ / 懐かしい関係
この先一体 、何回の夏をみんなで越えられるのだろうか 。突拍子もなく 、必然的に集められた仲間たちと 、一緒に 。
初期のメカクシ団は4人だった 。まだ子供だった俺たちは 、メカクシごっこという所謂お遊びに値するという考えが妥当だろうか 。
正直いえば 、歳を重ねて大きくなるまでこの組織で活動していくなんて 、昔は考えもしなかったな 。
そういえば 、ここ最近の夏は本当にいろいろなことがあった 。
テロリストの襲撃に 、遊園地に 、そして 、彼奴に 。
ひと夏の大冒険だったな 、なんて今になっては思える 。
あの時は 、否 、あの時から 、必死だった 。
救われない未来にちっぽけな希望を託すほど 、未来が見えなかった 。
現に今もそうであるが 。巻き戻って初めてわかることは沢山あるなあなんて呑気に考えられるのも 、未来があったからで 。
失われた希望に出会って初めて幸せを知って 。それは昔も今も変わらない記憶として 、一人一人に残ってゆくのだろう 。
再び閉ざされた幕はもう二度と開くことは無いが 、そんなものはいつか消えても 、己がいる限りは変えられる 。なんて 。
淡い期待なんてしていた自分はどれ程愚かだったのか 。
分かっていたつもりだった 。何を 、なんてさ 。
昔は良かった 。
昔は幸せだった 。
あの頃に戻れたら 。
きっと永遠だった 。
いつからか歪み始めた世界に目を背けていたかった 。
ずっと 、永久に 。
いつの間にか時計はその動きを止め 、突如として静寂が訪れる 。
生臭い匂いに抵抗も出来ずに 、目の前の光景から目を逸らせない 。
只々 、蠢く何かを見つめたまま 。
もう 、時間は動かない 。
あの二人も 、いなくなって 。
仲間に囲まれ 、目を閉じるしか為す術もない 。
誰一人として口を開かない 。
開けない 。
もうすぐ 、
いなくなるから 。
何度目かの別れ 、最後の時を経て
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作者名：映 | 作成日時：2018年9月24日 2時
