第195話 ページ35
刃を喉元に押し込もうと、彼が手に力を籠めた。
あの少年がそれを止めようと動き出すのが、やけにゆっくりと見える。
＿＿＿＿目を閉じると、今までのことが走馬灯のように頭を駆け巡った。
旧ボーダー時代の、みんなのこと。
それから第一次大規模侵攻の時に向こうの世界に行って。向こうだからこそ得たものも、失ったものもあった。大好きな仲間にも、出会えた。
こちらに来てからの2ヶ月間は、迅や小南に再会して。本部にいる沢山の新しい仲間とランク戦で凌ぎを削って、この一か月はヒュースとも過ごすことができて＿＿＿＿＿＿。
…すごくすごく、幸せだったなあ。
私には勿体ないくらい、素敵な人達に囲まれて。
＿＿＿＿＿最期に少しだけ蒼也くんの顔が見たいと、何故かそう思った。
ああ、…あの時リアムが言ってたこと、本当なのかも。
ぷつ、と首の皮膚が破られる感覚が、確かにした。
A「…蒼也、くん」
風間「なんだ」
A「………え？」
＿＿＿思わぬ声にぱち、と目を開けると、金髪の彼を抑え込んでいる蒼也くんの姿。いつも通りの青い隊服。…換装した、姿。
…なんでここに？
状況が理解できないままに首に手をやると、少し刃の先が掠ったのか血が付いたものの、そこまで傷は深くないようだった。
風間「どういうことか、説明してもらうぞ」
A「…え、いやいや、こっちのセリフ、」
レギー「っなぜ玄界の奴がアフトの蝶を守る？！アフトの兵を、どうして、っ」
しばらく驚いて固まっていた後蒼也くんの下で声を荒げた彼は、私と蒼也くんを睨みつけた。
風間「Aは元々玄界の人間だ」
レギー「はあ？…どういう、意味だ」
四年前にアフトクラトルがこちらの世界に攻めてきたこと。その時に、私が向こうに行くのと引き換えに侵攻を止めたこと。
蒼也くんが戸惑う彼に説明しているのを、私は黙って聞いていた。
スポーツ刈りの彼がなるほど、と呟く。
レギー「けど、それなら、なんであんなこと…っ故郷が蹂躙される気持ちが分かるなら、尚更なんであんなことが出来た？！」
風間「…あんなこと？」
A「あ、…」
レギー「お前ら知らないんだろ、この女の本性も、どんな事してきたかも…！こいつは、無抵抗な兵さえ殺し回るような奴なんだよっ、玄界だっていつかこいつに滅ぼされるぞ！俺らの国みたいになあ！」
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フォルテ(プロフ) - ゆかりさん» コメントありがとうございます。そのような言葉を頂けると本当に励みになります。これからも更新頑張ります。 (2021年3月13日 1時) (
レス) id: 6f3841a0ac (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - この作品が大好きです。これからも応援してます。頑張ってください。 (2021年3月12日 7時) (レス) id: 62a35361d3 (このIDを非表示/違反報告)
フォルテ(プロフ) - ゆかりさん» コメントありがとうございます。そういって頂けて嬉しいです。これからも更新頑張ります！ (2021年3月10日 22時) (レス) id: d29ecefbc9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - この作品が終わる何て寂しいです。最後まで楽しみに待ってます。頑張ってください。応援してます。 (2021年3月10日 18時) (レス) id: 62a35361d3 (このIDを非表示/違反報告)
フォルテ(プロフ) - ゆかりさん» こちらこそコメントありがとうございます。物語も佳境を迎えているので、どうか最後まで読んで頂ければ幸いです！更新頑張ります。 (2021年3月10日 18時) (レス) id: d29ecefbc9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フォルテ | 作成日時：2021年3月2日 18時
