131話 疑心暗鬼 ページ10
◇
きっかけはナターシャの
"『アンタ勘違いしてるわ』"
という一言からだった。
何かと思えば、シャルルカン達をホテルに誘ったのは、仕事上男女ペアで行くあったからだと事情を説明された。なんでも、幽霊が出るのはカップルが宿泊した時だかららしい。
……いやいや、どんな幽霊だよ。
『ね、だからジャーファル一緒に行くわよ』
「なんの"だから"なの…行きませんよ。それで変な噂が立ったら、ホテルどころかこちらが風評被害受けるじゃないか」
『どういう意味よ!
……じゃあいい!アンタが行かないってなら他の人誘うから』
「それがいい、シュウにでも」
『シュウは頼りないから却下。王様かしらね』
「は、シン……?」
『そう、スパルトスは今頃船の上だし、奥さんいる人なんて誘えないじゃない。ま、誰もついてきてくれないんだもの、仕方ないわよね』
「ですがなにもシンでなくても…。彼を悪く言う気はないけど、それこそ万が一が……」
『もし間違いがあったら、頑なに断った誰かさんのせいよ。友達が助けを求めてるのに、変な噂がぁとか言っちゃう誰かさんのね』
「分かった、分かりました!
……私が行きますよ」
そんな経緯を経て、
ナターシャの口車に乗せられた私は今、シーサイドホテルいる訳だけど。
「こちらです。さあさ、ついてきてくださいな」
急かされている気がするのは気のせいだろうか。年配のオーナーは手すりも使わず階段を登っていく。杖を手にしながらも身軽らしい。
宿泊部屋は404、4階だ。
なのに少しも階段を登る勢いは落ちない。
……ただ一人を除いては。
グイと服の裾を掴まれる。
「…ナターシャ、引っ張らないで」
『ちょ、…ムリ。気持ち悪い』
うう…と踊り場で項垂れる彼女。
3階まで休まずに登ったからって、体力なさ過ぎないか?
「すみません、少し待ってもらっても?」
普通は逆だと思うけど、先を歩いていたオーナーに止まってもらった。そしてうだるナターシャの腕を引っ張り、ゆっくり階段を登る。
『なんで4階まで行くのよ…』
「そこに部屋があるからでしょう。
オーナー、404の部屋はいつから使われていないのですか」
「1年ほど前でしょうか」
「ですが部屋は綺麗ですよ」とオーナーは髭を撫でる。だがおかしい。
1年前だと……
「…では何故今になって彼女にこの仕事を」
「あの部屋は私にとって思い入れのある部屋でして、またお客様に使って欲しいのですよ」
遠い目をするオーナーの横顔に、何かが引っ掛かる。
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むす(プロフ) - 彩覇さん» 一気にですか…!?すごい量ですよね?ハマってもらえて嬉しいです、ありがとうございます!笑 これからも頑張りますね、彩覇さんも気詰めない程度にたまには休憩なさって下さい、応援しています笑 良いお年を! (2016年12月29日 17時) (レス) id: af8ca94d98 (このIDを非表示/違反報告)
彩覇 - 初めてまして、彩覇です。受験生なのに今日、この外交長官殿シリーズを一気読みしたバカです…。すごい良い作品で夢中になってしまいました!続編も期待してます!良いお年を!! (2016年12月29日 16時) (レス) id: 17626c4f76 (このIDを非表示/違反報告)
むす(プロフ) - けーじろーさん» ですよね!私も褒めてもらいたいです、貴重な意見をどうもありがとうございました笑 これからもよろしくおねがいします、では良いお年を! (2016年12月28日 23時) (レス) id: af8ca94d98 (このIDを非表示/違反報告)
けーじろー(プロフ) - 2がいいです!ジャーファルさんに褒めてもらいたい…♪←いつも更新お疲れ様です!これからも応援してます♪よいお年を! (2016年12月28日 9時) (レス) id: 3429c2729d (このIDを非表示/違反報告)
むす(プロフ) - どなさん» ですね、余り楽しい感じでは無さそうな…!波乱の予感がする5ですがどう転ぶか、見守ってあげてください。では、良いお年を! (2016年12月27日 20時) (レス) id: af8ca94d98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むす | 作成日時:2016年7月23日 8時