158話 青雲の志 ページ41
◆
『……ってワケで、壊しっぱなしも悪いなって思っただけだから!』
「へえ、それは…」
ポカンと目を瞬かせて、ジャーファルは手のひらの小包と私を順に見つめる。黒い瞳とバッチリ視線がぶつかり、すぐ様目を逸らした。
ホテルの視察の時、…まあ色々事故って粉砕させてしまったジャーファルのペンの修理をが今日完成したんだけど。
迂闊だった、渡す時まで考えてなかったわ…
もう気まずいったらありゃしない。
『…いらないなら、別に捨てていいんだけど』
「はは、誰が捨てますか」
少しの間を開け小さく笑った彼の声に、ゆっくり視線を上げる。くすりと目が細まり微笑まれた。
最近この笑顔を見ると妙にバツが悪いっていうか、ムシャクシャするのはどうしてかしらね。
「有難く頂きますよ、ありがとうございます。
よければ開け…「用は済みましたね。それではジャーファルさん、俺らは仕事があるのでここから退出願います」
『……』
「……君の部下は変わりないようで」
私は選択を二つ間違えた。
一つは王様辺りのヤツらにバレない事を重視しすぎて、勤務時間中にジャーファルにペンを贈ったこと。
そしてもう一つは、
「アレンくん!なんで邪魔するんです、ダメですよ!」
「そうですよ、今のはサイテーです!」
…その場所だ。我がホームである外務室にしたことがそもそもの間違い。
『………はあ、ここが一番口封じが楽だと思ったのに』
後始末の事だけ考えていたらまさか横槍を入れられる羽目になるとは。
頭を抱える私に向き直った第二補佐の口は止まらない。
「ナターシャさんがちゃんと仕事をしてくれれば俺は、特に口出ししませんよ。
けど貴女、この人へのプレゼントが出来上がるまでの数日間、いつもぼーっとして仕事全然しなかったでしょ!悩みの種が解決したのなら、溜まった仕事を早くやってくれないと困ります」
『はいはいはいはい』
「ナターシャさん"?」
「……ったく、君は何処でも怒られているんですね。やる事やってくれないと私は喜ぶ物も喜べないよ」
出た、母親発言。…私から貰ったのはカーネーションだとでも思ってんのかしら。
いつまで経っても、身内の枠にいる限り治らないのなら……
『……はあ、あのさジャーファル。昼休みになったらまた会いましょ。ちょっと話があるから』
どうせ20分弱で鐘が鳴る。
気に食わない事があったら、私は誰彼構わず不満を言ってきた。だったら今回もそうするだけよ。
………言ってやる。
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むす(プロフ) - 彩覇さん» 一気にですか…!?すごい量ですよね?ハマってもらえて嬉しいです、ありがとうございます!笑 これからも頑張りますね、彩覇さんも気詰めない程度にたまには休憩なさって下さい、応援しています笑 良いお年を! (2016年12月29日 17時) (レス) id: af8ca94d98 (このIDを非表示/違反報告)
彩覇 - 初めてまして、彩覇です。受験生なのに今日、この外交長官殿シリーズを一気読みしたバカです…。すごい良い作品で夢中になってしまいました!続編も期待してます!良いお年を!! (2016年12月29日 16時) (レス) id: 17626c4f76 (このIDを非表示/違反報告)
むす(プロフ) - けーじろーさん» ですよね!私も褒めてもらいたいです、貴重な意見をどうもありがとうございました笑 これからもよろしくおねがいします、では良いお年を! (2016年12月28日 23時) (レス) id: af8ca94d98 (このIDを非表示/違反報告)
けーじろー(プロフ) - 2がいいです!ジャーファルさんに褒めてもらいたい…♪←いつも更新お疲れ様です!これからも応援してます♪よいお年を! (2016年12月28日 9時) (レス) id: 3429c2729d (このIDを非表示/違反報告)
むす(プロフ) - どなさん» ですね、余り楽しい感じでは無さそうな…!波乱の予感がする5ですがどう転ぶか、見守ってあげてください。では、良いお年を! (2016年12月27日 20時) (レス) id: af8ca94d98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むす | 作成日時:2016年7月23日 8時