153話 色は心の外 ページ33
◆
「まあ、私と君の2人が呼ばれた意味なんて後から付いてくるんでしょう。あのオーナーも言っていたしね」
"「あなた方が呼ばれた意味がないのなら、俺が作ってみせます」"
別れ際にそう言った2代目が続けて言ったのは、「意味のない運命ほど残酷なものはありませんからね」と。
なんであの時2代目が辛そうな表情を見せたのか、この時の私は知らなかった。ただこの時は脳裏に浮かんだその事実を少し疑問に思っただけで。
普段見ることのない早朝の、まだ眠っているシンドリアの街並みを新鮮に感じていた。
『あぁ、眠…』
城が見えてきてポツリと零れた本音。
思えば丸1日まともに眠れなかったもん、道理で瞼が重いわけよね。ま、徹夜慣れのジャーファルには関係ない話でしょうけど
しかも確か、コイツは呑気に湯浴みも終えてたはず。
思い返すとむっとするけど、正直彼が居ないと解決しなかった事もあった。
『あのさ、私ね。ジャーファルさんあの時だけはいい事言ったと思ったのよ。珍しく、相手を思いやれてるなってね。珍しく』
「なにが」
『ほら、相手を想えば想う程、相手も自分を想ってるー的なさ』
珍しく、を強調しすぎたのが気に食わなかったのか、ふぅん、と微妙そうに相槌を打つジャーファル。
「まあ、彼以外にも言ったつもりだったからね」
『は、誰によ』
横を歩くジャーファルを見上げると、バッチリ視線のあった黒い瞳がふいに逸らされた。
「さぁ」と肩を竦め、スタスタ半歩先を歩いて行く。
……なんなのよ。
ジャーファルに私、なんか言ったっけ。
ふわふわと朝の風にはためく背中を眺めながら記憶を辿る。
そうして思いついたのは一つだけ。
だけどそれは願望であって、確証はないけど。
……アンタになら、私の事、知ってほしいって。
いや、まさかね。
*
城に辿り着いた瞬間、長かった視察がやっと終った気がした。肩の荷が降りたってこの事を言うのね…
真っ先にジャーファルと向かうのは王の自室。こんな朝早くに望み薄だけどノックをしてみると意外にも返事があり、私達はドアを開ける。
「どうしたんです、こんな時間に起きているなんて珍しい」
机に向かっていた王様は顔を上げる。
「ああ、朝帰りのお前らを出迎えようと思ってな」
『はあ、私に謝罪文書かせるどっかの王様じゃないんですから』
「ははは…冗談キツイな。分かってるさ、お前たちは仕事だろう？ご苦労だったな。
それでは、俺の興味を唆る案件を報告願おうか」
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むす(プロフ) - 彩覇さん» 一気にですか…！？すごい量ですよね？ハマってもらえて嬉しいです、ありがとうございます！笑 これからも頑張りますね、彩覇さんも気詰めない程度にたまには休憩なさって下さい、応援しています笑 良いお年を！ (2016年12月29日 17時) (
レス) id: af8ca94d98 (このIDを非表示/違反報告)
彩覇 - 初めてまして、彩覇です。受験生なのに今日、この外交長官殿シリーズを一気読みしたバカです…。すごい良い作品で夢中になってしまいました！続編も期待してます！良いお年を！！ (2016年12月29日 16時) (レス) id: 17626c4f76 (このIDを非表示/違反報告)
むす(プロフ) - けーじろーさん» ですよね！私も褒めてもらいたいです、貴重な意見をどうもありがとうございました笑 これからもよろしくおねがいします、では良いお年を！ (2016年12月28日 23時) (レス) id: af8ca94d98 (このIDを非表示/違反報告)
けーじろー(プロフ) - 2がいいです！ジャーファルさんに褒めてもらいたい…♪←いつも更新お疲れ様です！これからも応援してます♪よいお年を！ (2016年12月28日 9時) (レス) id: 3429c2729d (このIDを非表示/違反報告)
むす(プロフ) - どなさん» ですね、余り楽しい感じでは無さそうな…！波乱の予感がする5ですがどう転ぶか、見守ってあげてください。では、良いお年を！ (2016年12月27日 20時) (レス) id: af8ca94d98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むす | 作成日時：2016年7月23日 8時
