第二十九話 ページ29
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Aともう1度やり直したい。
会いたい。会ってちゃんと向き合って、俺は変わりたい。
あいつの為にも、俺の為にも。
何度もあいつの働く店の裏でいつものように終わるのを待とうとしたけど、今回はそれが出来なかった。
怖かった、最後に泣かせてしまって次どんな顔で俺を見るのか怖かった。
古森と電話した後、あいつの事を考えて全く寝られず、気が付けば夜中の2時を過ぎていた。
出る筈ないと分かっていながらも、そもそもこんな時間に電話はありえないなと分かっていながらも電話をかけた。
まあ、結果やっぱり繋がらなかったけど。
あいつはもう俺の顔なんて見たくないのかもしれない。
もう俺の事なんて何とも思ってないのかもしれない。
それでも会いたい、会わなくちゃいけない。
例えあいつが俺の事をもう少しも好きじゃなくてもいいから。
不器用でもなんでもいいから、ちゃんと言葉にして伝えたい。
その翌日。
俺は1人で祭り会場に向かった。
覚悟はしていたけど、想像以上の人混みで嫌悪感がすごい。
正直出来ることなら今すぐ帰りたい。
そもそもこんな人混みの中あいつを見つけ出す事は出来るのか⁇
見つけられたとしても隣には宮がいるんだろう。
きっとあの日俺が劣等感を感じた様に笑い合う2人がそこにはいるんだろう。
思い出すだけでも挫けそうになる。
�牴峅个梁任曽紊桶�始まで、残り10分となりました��
そのアナウンスが聞こえる頃には俺はもう2時間以上祭り会場を歩き回っていた。
ほんとどこにいんだよA。
諦めかけたその時、ふと目に映ったミントグリーンの浴衣。
あの浴衣確か…
(ねえ見てこの浴衣可愛くない⁇ 衝動買いしちゃった‼)
(先にゆっとくけど祭りには行かないからな、人混みとかまじで無理)
(だよね〜〜分かってるよ、誰誘おっかな〜‼)
あの時のあいつどんな顔してた⁇
ダメ元で俺に浴衣を見せてきたんじゃないのか⁇
ああ言っておきながら残念そうにしてた。
無理して明るく笑ってたんじゃないのか⁇
それを俺は気付かないフリした。
結果あいつの浴衣姿は今では宮の為になった。
ほんっと馬鹿だな…自分に腹が立ってしょうがない。
たまらなくなって、俺はその浴衣姿に向かって走った。
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作者名：林檎 | 作成日時：2020年6月19日 16時
