座礁 ページ5
跡部「こんな時間に何してんだ？」
「気分転換にバルコニーに…」
跡部「あぁん？バルコニーは真反対だろうが。それに嵐で外出れないぞ」
跡部さんに言われて気付く。確かにこの船さっきから少し揺れが激しい。真反対に向かってたことに関しては恥ずかしいのでスルーした。
「じゃあ自販機ありませんか？」
跡部「昼間に居た食堂の待合室だ。ここからならそこが1番近い」
「あー…ありがとうございます」
食堂までの道なんて覚えてないから適当に歩き出してみた。
跡部「反対方向だ。」
跡部さんに呆れ顔でツッコまれる。案内してやる。と言われたのでご厚意に甘えて着いていくことにした。
あ、もちろんお礼は伝えたよ。
合宿の話やテニスの話、更にバスケの話をしていたら食堂は割と近かった。
私はまた買いに行くのが面倒な為お茶を3本買った。
跡部「お前…パシられてんのか？」
「流石に違いますよ」
跡部さんて実は天然か？
加えて今名前を聞かれたが今更感が否めない。最初に聞くものじゃないのか。
「あ、跡部さん1ついいですか」
跡部「部屋までの道が分かんねえから案内しろ。だろ？」
「跡部さん大正解です」
跡部「ったく…仕方ねえなぁ」
道中でかなり話せたから、人見知り発動はあまり無かった。
桃城君や越前君もそうだけど、テニス部の人達はコミュ力高いから助かる。
「見たことある道ですね」
跡部「俺様からしたら全部見たことある道だ」
「ぐっ…」
なんて話をしていると、隣を歩いている跡部さんが立ち止まった。
跡部「おい、この船さっきから止ま」
跡部さんが何かを口にしようとした瞬間船がかなり傾く
「えっ…!!」
さっきの今で再び階段から落ちそうになる。
しかも今回は上から3段目、かなり高い位置だ。
跡部「A!!!」
跡部さんに思いきり腕を引っ張られ上手く跡部さんの体に収まりきる。
間一髪で落ちるのは防げたみたいだ。
跡部「恐らく船が座礁してる。救命ボートがある筈だから走るぞ」
不幸なことに跡部さんと衝突した際に捻った足が響いて、歩くことは出来ても走るのは少し厳しい。暫く運動してなかった身だ。見ないようにしてはいたが、右足は赤く腫れていた。
「跡部さん先行ってください」
跡部「あぁん？」
跡部さんは私の足を見て察したようだ
その瞬間に私の体は宙に浮かぶ。
跡部さんは
私を抱き抱え、救命ボートまで走った___。
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作者名：あぽろろろろろ | 作成日時：2020年12月2日 3時
