5話 ページ17
船に乗り込む時、智君は当たり前のように自分が先に乗って、振り返ってかえちゃんに手を差し延べてた。
かえちゃんはそれを鼻で笑いながらも、悪くない顔で受け、船に乗り込んでいた。
智君はジェントルマンだね！ カッコイイ！
一方、私は自分で助走をつけて船に乗ろうとしたんだけど、ジャンプする寸前で智君に焦った様子で止められた。
｢やめろって！｣
｢ニャーン？｣
｢絶対落ちっから｣
えーっ、猫なんですけど？
失礼じゃない？
｢ニャァン！｣
不満を鳴き声でアピールしたんだけど、智君はブルブルと首を横に振った。あんまり見ない怯えた顔で。
｢無理。やべぇって。頼むからそこにいて？｣
言いながら岸壁に戻ってきて、私を抱き上げると身軽に船に舞い戻った。
智君は、嘆息していた。
･･････私そんなにどんくさい？
かえちゃんはそんな私と智君を見て鼻で笑い、｢過保護｣と吐き捨てるように言った。
ほら、馬鹿にされちゃったよ？
でも智君は気にした様子もなく、胸を撫で下ろして私を船上に離してた。
･･････まんざらでもない自分が恥ずかしくて、背中を向けて船内の探索に出かけた。
その日は絶好の釣り日和で、大漁とまではいかないけど、コンスタントに釣り上げることが出来ていた。
智君は特に騒ぎ立てるわけではないんだけど、一緒に暮らしている私には充実している様子が手に取るように分かった。
釣りに疲れたら、釣った魚を捌いて刺身にして食べたり、お酒を飲んだり、お腹いっぱいになったらぼーっと海を眺めたり、はたまた私を追いかけて写真を撮ったりと、自由に過ごしていた。
･････でも、自由に出来ていないこともあって、船長が｢今日は全然寝ないんだなー｣って言うのを聞いて、私はシュンとした。多分その原因は私だから、申し訳なくなった。
智君は、うっかり私が寝てしまうのを気にして、起きてくれているんだと思う。寝たら人間に戻っちゃうから。
ごめんね･･････。
こんなことなら人の身体で来た方がよかったかな。その方が智君は楽だった？
でも智君はそんなことおくびにも出さないで機嫌よく過ごしていた。
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ao(プロフ) - keiさん» kei様はじめまして。ようこそお越し下さいました。数日中に移行出来ると思うので、待っててくださいね。私も書きながら癒されてます。コメントのおかげでまた頑張れそうです。ありがとうございました。 (2019年9月7日 9時) (
レス) id: 0d583270dc (このIDを非表示/違反報告)
kei(プロフ) - aoさん、はじめまして。素敵なお話をありがとうございます。このお話のねこちゃんと大野さんに癒されて、ドキドキして、何回も読み返してます。更新を楽しみにまっています。 (2019年9月3日 17時) (レス) id: a6dd3c2537 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - mizunaさん» mizuna様こんにちはー！本当に彼は魔性ですね･･･。魅力の塊です。酔わされちゃいますね。でも翔君もほんと凄い人で。あらためて、奇跡の五人に感動中です。 (2019年9月3日 6時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
mizuna(プロフ) - こんにちは〜久しぶりの更新に読む前からドキドキしてました（笑）aoさんと同じ様に本来なら私も翔くんタイプに恋する人間なので共感から笑っちゃいました、反対に智くんがそれを凌駕する魅力的な人って事でもあるので大野智は魔性ですね(笑)次回も楽しみにしてます！ (2019年9月2日 15時) (レス) id: a740177e2c (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - blue3104さん» blue3104様こんにちはー！私は皆さんのコメントに癒しをいただいています。夏の終わりは疲れが出がちですから、どうぞご自愛くださいませ。お話読んで、癒されてくださいませ。 (2019年8月30日 9時) (レス) id: 0d583270dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ao
| 作成日時：2019年8月10日 9時
